雪さんすきすき日記
倒れてもその場で復活するリサイクルSLG。全力で応援中!
DiaryINDEX|past|will
「ときのあくま」攻略はこちら
「東方戰騎譚」エキスパート攻略はこちら
考察のようなものはこちら
自己紹介はこちら
リプレイはこちら
動画はこちら(完成版、体験版)
Twitterはこちら
2013年07月07日(日) |
「間違った社員教育」のこと |
今日も日中は暑かったけど、カーテン閉めて網戸にしてサーキュレータ回すだけでも風の通りが良くてエアコン要らずで過ごせた。
「Rosenkreuzstilette Freudenstachel」が一段落したので、いよいよC83の新作に着手…って、7ヶ月遅れでそんな堂々と言うことでもないが…。
初っ端に着手するのは「間違った社員教育」(資材部の懲りない面々)。 北遠野重工資材部所属の清水亜里紗の副業は、同社が開発した家庭用小型飛行機のモニター。天真爛漫で才能もあるけどどこか天然な彼女の、上司や同僚を巻き込んでの空の上での愉快な日常を描いたスラップスティックフライトSTG。
フライトSTGというと空軍のエースパイロットの活躍や二国間の対立、争いの中で巡る様々な思惑など謹厳で重厚な設定が一般的であるが、この作品はそのいわば一般常識ともいえる概念を真っ向からぶち壊した内容となっている。 まず、このOLが並ぶパッケージを見てそれがフライトSTGであると思う人は皆無であろう。そして、ラノベ的な緩い雰囲気で繰り広げられる騒動は戦争の重苦しさなどどこ吹く風。そもそも、この作品に「戦闘機」は登場せず、亜里紗が乗るのはあくまで「家庭用超高速小型飛翔体」。搭載する装備は「武器」などではなく「お掃除道具」で、それを用いて行うのも「お掃除」なのである(ちなみに、お掃除道具の説明には一応本来の用途も記されているが、その後に続く「口外してはならない」や「黙っていよう」などの忠告は素直に聞いたほうが良さそうである)。 さらに、任務の内容も再開発のためのビルの破壊や、暴走した花火の打ち上げ機(決して高射砲などではない)の「お掃除」、アミューズメントパークのチケットを巡ってのドッグファイトなど、(彼女達にとっては)日常の延長のようなものばかり。中には、打ち上げ花火の中を飛翔するといった幻想的な任務も。登場人物の大半が女性で任務中の会話もフルボイスで賑やかであり、気軽に愉快に空を駆け巡ることができる。
難易度は初心者に配慮した点が非常に多く見受けられ、いわばフライトSTGの入門編としての要素が強い。例えば、1つの任務内では対空と対地の標的がほとんど混在しない、相手からの攻撃がほどんど来ない、対空の標的も(一部を除いて)移動速度が遅く機銃1発で倒すことができるなど、これもまた今までのフライトSTGでは見受けられなかった点である。特に、実戦における初心者の大きな壁である、対空の標的が機銃1発で倒せるという配慮には目から鱗が落ちた。 また、初心者への配慮として、充実したチュートリアルも挙げられる。これこそ初心者の最初で最大の壁ともいえる機体の操作にその半分を費やし、加速、減速、上昇、下降、ロール、ヨーといった各動作それぞれについて、本編に登場する早瀬と凛々子の2人が丁寧に指導してくれる。ここまで徹底的に指導してもらえれば、確かに操作の敷居も相当低くなるかと思った次第である。ただ、欲を言えば、これもまた初心者の壁であるレーダーの見方も詳しく教えてもらいたかったところ。自機と相手との位置関係を二次元のレーダーに落とすとどう表示されるのか、これが分からないとレーダーの表示から空域の状況を思い浮かべることができないので、ここも丁寧に教えてもらえれば尚良かったと思う。
演出へのこだわりも注目すべきところ。前述の花火などの背景の演出に始まり、各機体の着陸装置や動翼の動き、音声と同調した会話アイコンの口の動きなど、油断すると見落としてしまいそうな細かいところにも手が込められている。もちろん、声優さんたちの演技も臨場感抜群で、作品の世界にしっかり没頭できる。この辺りは、「EFFY」で実績のあるProject ICKXがプロデュースしているだけのことはあるかと。
フライトSTGは操作から画面表示から色々と独特な点が多く、一から始めるには非常に敷居の高いジャンルで”あった”。過去形としたのは、もちろんこの作品があってのこと。日常的な騒動という賑やかな雰囲気に、初心者への配慮が盛り込まれた調整は、間違いなくその敷居の高さを低くしてくれるものとプレイして感じられた。そして、こういう方向性を貫けるのはやはり同人ならではというのも再認識である。ちなみに、私は「RaidersSphere」の初代の実戦を通して飛び方を学んだが、この作品と比べると随分と容赦の無い、そして効率の悪い訓練だったような気がする。 そして、フライトSTGにそれなりに慣れた今でも、この作品が退屈とか手応えが無いとかそういうことは一切感じられなかった。難易度は低くほとんどの面が初見でクリアできるものではあったが、誘導ミサイルに追いかけられることもなくこれほど穏やかな気持ちで楽しく空を飛ぶことが出来たのはいつ以来であろうか。「空を飛ぶ楽しさをあなたにお届け!」のコピーに込められた製作者の想い、しかと受け止められたと思いたい。
なお、追加機体とさらなる上級難易度(激ムズ版)が用意されている追加パックもあるが、この作品で難易度を追い求めるのは野暮というもの。愉快な追加機体は楽しませていただいたが、上級難易度のプレイは控えようかと思う。
|