パラダイムチェンジ

2006年06月29日(木) ダヴィンチコード 映画版

ということで今回は映画ネタ。見てきたのは「ダヴィンチコード」
この映画、今までに様々な人からいろんな感想を聞いていたからかも
しれないけれど、私の感想は「意外に面白かった」である。
多分、そんなに期待しなかったのがよかったのかもしれない。

原作と比較して映画を見た場合、原作は「ダヴィンチの暗号を解くのか
と思ったら、ソニエールの暗号を解く物語だった」と書いたんだけど、
今回の映画は、その暗号の謎解き部分の比重が薄まってしまった分、
印象的には、「カソリック教団の陰謀」みたいな印象が強まってしまった
ので、そりゃ国によってはこの内容じゃ問題になるかもしれないなあ、
という感じで。
この作品をノーカットで見られるのって、日本、中国などごく一部の
国だけらしいし。

だからなのかもしれないけれど、主人公のラングドンが、小さいころは
カソリックの敬虔な信者だったとか、またティーヴィングの屋敷で
ダヴィンチの謎を紐解くあたりでは、ラングドンをより常識的な意見に
して、カソリック信者の人たちの反発を和らげようという風に変わって
いるのがちょっと面白かったりして。

ただ映画自体に関しては、物語性をよりダイナミックに見せたいと
思ったのか、ロズリン礼拝堂のくだりはよりわかりやすくなっている
んだけど、わかりやすくなっちゃっていいのかしら、と余計な心配を
してみたり。

という風に、映画の物語世界にどっぷりと浸るというよりは、ちょっと
だけ引いた目で、この映画を楽しんでいたんでした。
でもね、あの長い原作を、とにもかくにも2時間ちょっとの映画作品に
した監督ロンハワードの力量は褒めていいと思うんだよね。

人によっては、主人公のラングドン役が、トムハンクスであることに
違和感を感じる人もいるかもしれないけれど、個人的には原作を読んで
いる段階で、トムハンクスの出ている予告編を半年位前からずっと見続
けていたので、違和感なかったし。

トムハンクスも、他の作品に比べても、トムハンクスらしい、コミカル
な演技というのがほとんどなかったので、役になろうという意識があっ
た様に感じて好感が持てたし。

これがもし、日本の演出家が手がけたとしたら、ウェストミンスター
寺院のシーンとか、もう少し2時間サスペンスドラマっぽい展開になっ
た様な気がしたし、あのシーンというか、この作品には、そういう日本
の2時間ドラマっぽい手法も似合うような気がするんだけど(主人公の
ラングドンとか、浅見光彦っぽい感じだし)、これはこれでありなのか
なあ、というか、ロンハワードとしてはその後の、聖杯の行方の方に
力点を置きたかったんだろうと思うし。

この映画で、私が一番好きなシーンは、ラストのルーブル美術館の
シーンである。
そこにいたる盛り上げ方は上手いなあ、と思うし、物語の冒頭で、
ルーブル美術館がチラッと映る時にも、それが伏線になっているのが
感じられて、ちょっとくすっと思ったし。

というわけで、今回のこの作品は、私にとっては、ロンハワードが
いかに原作に味付けを加えるかを楽しむ作品になったのでした。

とりあえず、パリに行ったらやっぱりルーブル美術館には行ってみたく
なりますね。
この映画や原作の効果もあって、訪れる人も増えているのかもしれない
けれど。

でも、この映画や原作を読んで思ったんだけど、もし原作者のダン・ブ
ラウンが、日本の伊勢神宮を舞台にして、ラングドン教授が活躍する
物語を描いたらどうなるんだろう、と思ってみたり。

伊勢神宮には、実はダヴィデの星と良く似た六芒星のマークがあったり
するし、何より万世一系の血筋なわけだし。
やっぱり日本-ユダヤ同祖論あたりと絡めてくるんだろうか。



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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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