パラダイムチェンジ

2004年11月12日(金) 隠し剣 鬼の爪

今回は映画ネタ。見に行ったのは「隠し剣 鬼の爪」
山田洋次監督、主演永瀬正敏、松たか子のこの映画。
一言でいうなら、「ラストサムライの100倍面白い」である。

ラストサムライも、昔の日本の情景を忠実に再現しようとしていた
と思うんだけど、やはりどこか借りてきた印象があったのに対して、
この「隠し剣〜」では、さらにその時代考証がしっかりとして、板に
ついている感じとでもいえばいいんだろうか。

たとえば、宮崎アニメを見たときに、ストーリーテラーの宮崎駿が
この登場人物は何を食べ、どんな生活をしているのかという所から
物語を組み立てていくのと同様に、細部にまできちんと目のゆきと
どいた映画になっていると思うのである。

これは予算の問題もあるだろうけど、TV時代劇ではこうはいかない
だろう。
今まで見てきた時代劇が、時代劇(のようなもの)なんだなあ、と思い
知らされるのである。

物語のクライマックスにあたる永瀬正敏と小沢征悦の殺陣は、さすが
にザ・時代劇の真田広之にはかなうべくもないが、前作にも登場した
田中泯と永瀬の師弟稽古のくだりは、それだけでご飯をお代わりした
くなるようないいシーンだったと思う。

物語の登場人物としては、嫌味な親戚の大叔父、ちょっとボケたおばあ
ちゃん、ちょっと頭の足りない小者(従者)、ききわけのない上司あたり
は、前作の「たそがれ清兵衛」とかぶるが、そこは山田洋次の様式美の
世界だともいえるわけで。

それに加え吉岡秀隆、田畑智子の夫婦などの多彩な脇役、更に魅力を
増した悪役などにより、物語の深みが増していると思う。
それになにより、松たか子の働き者っぷりがかわいくていいんである。

こういう水準の時代劇が、今後もたくさん見られたら幸せなのになー
という作品でした。
もう一回映画館に見に行ってもいいかもしれない。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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