2004年02月20日(金) |
ドラマがつまらないわけ |
と、いう事で話はなぜ最近のTVドラマはつまらないか、という話に うつっていく。
例えばキムタクはもう見飽きてたなんて意見もよく聞く。 でも、そりゃあそうだろう、なんて気もする。だって彼はこの10年間 毎年1本はドラマで主役をはってきたんだから。
トレンディドラマ成立以降、これだけの長い間に渡ってトップに君臨 してきたタレントは他にはいない。 W浅野だって、一線にいたのは5、6年だろうし、江口洋介にしたって 織田裕二にしたって、これ程の長期間出続けてはいないはずだ。
また、キムタクの演技は常に単調である、なんて話もよく聞く。 でも彼は彼なりに色々と頑張って役作りをしているような気もする。 だけど、見る側からはそうはあまり見えない理由のひとつは、見る側 に、もう既にキムタク演技、という固定観念がついてしまっているん じゃないだろうか。
例えば「バックトゥザフューチャー」のマイケルJフォックスが何を やっても同じに見えてしまったように、彼の場合は役を生きること よりもキムタクらしさを見る側(特に熱烈なファン)は求めていると したら、彼は結局、何をどう努力したとしても演技が単調である、と いう烙印を押され続けるのかもしれない。
同様に同じイメージを要求され続ける役者さんには田村正和と田中 邦衛がいる。でも、彼らの演技が飽きられず、支持されているのは、 モノマネされるほど、それが芸として昇華されていることだろう。
でも、キムタク芸は誰もが真似できるほど一般的ではないし、また もしも、彼が35や40過ぎになった時に、今までと変わらずにちょっと 反抗的な若者、という演技を続けていたらそれは笑うに笑えないし、 彼の芸域を狭めることになるのかもしれない。 そう考えると、彼も結構瀬戸際に立たされているのかも。
そしてもう一つ、キムタクに限らず最近のドラマをつまらなくして いる理由の一つは、ドラマのキャスティングにあると思う。 それは例えば、キムタク主演のドラマには、同世代でタメをはれる 共演者はいないという事である。
これは例えば、ちょっと上の世代や下の世代を考えてみるとわかる。 上の世代でいえば、例えば「白い巨塔」は唐沢寿明と江口洋介、また ちょっと前で言えば「踊る大捜査線」では織田裕二と柳葉敏郎という 風に二人が揃うだけで緊張感の生まれるキャスティングが成り立つ。
また下の世代で言えば、「ウォーターボーイズ」、「木更津キャッツ アイ」などやはり同世代の役者たちが微妙な力関係の中で競い合う からこそ、面白いドラマが生まれる可能性があると思うのだ。
でも、例えばキムタク世代でキムタクとタメを張る役者が競演する事 はめったにない。例えば福山雅治×キムタクといった組み合わせなら ば、そういう緊張感も生まれてくるかもしれない。 でも、残念ながら彼らが共演することはなかったし、これからも実現 する可能性は低いかもしれない。
ついでに言うと、キムタクと下の世代の主役級の役者との共演って いうのもあまりないんじゃないのかな。今回の坂口憲二はあてはまる かもしれないけれど、はっきりいって呑まれちゃっているし。 同じスマップのメンバー共演してもやはり難しい気がするし。
だから結局、キムタクドラマの場合は、キムタクのワントップで、 コスプレというかシチュエーションにこだわるか、田村正和とか、 明石家さんまとか、または堤真二や竹中直人などの上の世代の個性派 俳優との組み合わせ以外の使い道がないのかもしれない。
TV局的にはとりあえずキムタクを押さえられれば、視聴率は約束され たも同然、という安易なキャスティングをやめない限り、これからも ドラマはどんどん面白くなくなっていくし、またキムタクに代わって トップをはり続けられる人間が出てこない限り、キムタク天下は続き どんどんドラマ離れは進んでいくんじゃないかと思うのだ。
まあ、その影でも面白いドラマは年に数本はあると思うし、それを 楽しんでいけばいいんだろうけれど。
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