2003年11月30日(日) |
マトリックスという物語 |
と、いう事で今回は個人的なマトリックスの解釈編。 ネタバレ多数につき、読みたい人だけ要ドラッグで反転。
この物語、オラクル(預言者)を縦糸に考えると物語は見えやすく なるかもしれない。
ネオ出現以前のマトリックス世界では、救世主が現れても彼がソース に戻ることで、ザイオン(人類)は全滅し、それによりマトリックス 世界は平衡を取り戻してきていた。
今回オラクルがネオに託した思い、二人の共通の願いとは、ザイオン が全滅せず、人類、機械が共存できる世界という事だろう。 そのためにはマトリックス世界の能力を超える二つの存在が必要に なる。それがネオとスミス。
第1作で死ぬはずだったネオが生き返り、その事が単なるプログラムで あったスミスにも影響を及ぼし、プログラムの暴走が始まる。
そして、ネオが生き返るようにそそのかしたのはオラクルである。 彼女がトリニティと、モーフィアスに対してそのように予言をしな ければ、ネオの復活はありえなかったのかもしれない。
「始まりがあるからこそ終わりがある」 第1作のネオの復活、第2作〜のスミスの暴走で始まったマトリックス 世界の変調は、二人が最後、闘うことで終わりをつげる。 今回の場合は、ネオがスミスと決着をつけることで、マトリックス 世界は、平衡を取り戻す。
そのため、アーキテクト(設計者)はザイオンを滅ぼさずに、目的に 達することができる。 すなわち、ザイオンにいる人類は助かり、人類と機械は共存を果たし た訳だ。
「全てご存知だったので?」 「まさか」 マトリックス世界が安定を取り戻すことができたのは、オラクルの力 によるものではない。彼女はただ、そそのかしただけである。 ネオやトリニティ、そして彼らに船を与えたジャダやモーフィアスの 意思があればこそ、平穏を取り戻せたのだ。 だから、メシアとはネオ一人ではなく、彼ら全員と言えるのかも。
と、いう形でウォシャウスキー兄弟としては、この一連の作品につい て、決着をつけたんじゃないだろうか。 ただし、じゃあ観客がこの話の流れでカタルシスを得たかどうかは 微妙な所で、だからこそ賛否が別れるのかもしれないが。
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