先日、「行列のできる法律相談所」の中で、格闘家、角田信明がこんな エピソードを紹介していた。
角田信明が昔、サラリーマンをしていた当時の話。 クリスマス?に彼女のためにホテルのスイートルームを予約し、 彼女をそこに連れて行く時の事。
本当はフレンチのディナーの予約もしていた角田信明が、冗談めいて 彼女に「ホテルの予約で大金使ってしまったから、お金なくてごめん なあ、夕食は牛丼でもいいか?」と聞いた所、 彼女はその場で「え?」と引いてしまったらしい。 曰く「牛丼を食べる人なんて信じられない」
その言葉に切れてしまった角田信明はその場で彼女を下ろし、一人で ホテルのスイートルームに行き、二人分のディナーを食べたそうな。
さて、この話を聞いたあなたは一体どんな風に思っただろうか。 やっぱり、女には男のロマンはわかんないんだよ、と思うのか、それ とも、そもそもそんな冗談を言う角田信明が悪いんだよと思うのか。
この話を聞いて思い出した話がある。 それは田口ランディと整体師、寺門琢己の対談本「からだのひみつ」 の中の一節。
寺門 だけど最近、女の弱点がちょっと見えてきて。
田口 なんですか?
寺門 言葉ですね。
田口 ああ……。女が言葉に弱いっていうのの一番の例はね、パソ コン通信のEメール恋愛にはまる女の人。相手の男のEメールの 言葉だけでどっぷり大恋愛にはまっていくんですよ、みんな。 完璧に言葉だけで実体がなくっても恋ができちゃうんですよ。 女って。
寺門 例えば仕事で妻に愛を表現しようと思ってる男はいっぱいいる と思うんですけど。
田口 だめなの、言葉で表現しないとー(笑)。
寺門 どれだけがんばって業績をあげても捨てられるんだ、これが。
田口 そうですそうですー、スルドーイ、そのとおりー(笑)。
寺門 飲んだくれてて、全然稼ぎがなくても口さえうまかったらなん とかなるのね。この重要性がやっと見えましたよ。
田口 いや、それは素晴らしいですね、真理ですよ。とにかく口なん ですよ。もう、口約束だけでいいんですよ、女は。
寺門 しかも、結果はなくていいんですよね。
田口 結果はなくていい、全然。えんえんと約束さえしつづけてくれ れば(笑)。
まあ、この話が全ての女性に当てはまるかどうかはおいといて。
でも、個人的な体験に照らしてみても、もしかしたらそうかも、と 思い当たる節がある。 女性って言葉が全てになる場合ってあるような気がするのだ。
だから例えば、相手にプロポーズする時、「お前を幸せにするよ」と 言うのと、「できれば幸せにしたい」と言う場合では、後者の方が 言う側の男性としては、誠意あふれる本心だったとしても、前者の 様に言い切った人の勝ち。 「言うんだったら、条件つけずにスパッと言えよ」と思っている女性 ってもしかしたら多いのかもしれない。
また、先程の角田信明の例で言えば、いかに後に高級なスイートルー ムが待っていたとしても、「牛丼でもいいか?」と言われた瞬間、 彼女の頭の中では高価なスイートルームで寂しく牛丼を食べている 風景がこびりつき、離れなくなってしまったのかもしれない。
仮にそんな状態で高級フレンチを食べたとしても、あんな事言われな かったら、もっとこの料理を楽しめたのに、なんて思ってたりするの かも、しれない。
また、例えばつきあっている彼女に、本心はそう思っていなくても 「ブス」だの「ブサイク」だの言っている人と、「可愛いよ」と言っ ている彼氏では、例え実際の見た目は可愛くなかったとしても、普段 から「可愛いよ」といわれている女の子の方が、精神衛生的には、 可愛く振舞えているような気がする。
女の子って、特に好きな相手には、否定の言葉よりは誉める言葉を 言われたいんじゃないのかな。 だって好きな相手だったら、赤の他人に言われるより、余計傷ついた りもする訳だから。
と、言うことにもう少し早く気付いていたら、私の人生も、もう少し 違った展開だったかも。 でも、そうは思っていても、なかなか実行に移すのが難しかったりも するあたりに、私の人生の難しさがあるわけだけど。
|