2003年07月22日(火) |
テキトーでいいかげん2 |
さて、前回の脚本家の君塚良一の発言、どこで拾ったんだろう、と思い、 本棚を探っていたら、どうやら「テレビ大捜査線」の中の発言だった。
「踊る大捜査線」に限らず、メイキング・オブ・TV脚本なこの本、 読み返してみると結構面白い。
「踊る〜」関連の話で言えば、TVドラマOA当時、視聴率が上がらなかった 時のために、第4話までは、恋愛の伏線が張られていて、水野美紀演じる 雪乃は、織田裕二演じる青島刑事の恋の相手として用意されていたのが、 その後の路線変更で、警官を目指す話に変わったりとか、また同じく室井 管理官と恩田すみれの恋の話が用意されていたとか。
また、前回の映画のマスコミ向け製作発表の時、あまり記者たちが集まら ないことに腹を立てたプロデューサーの亀山千広が、「映画のテーマは 愛と死です」といきなりぶち上げたため、当初の予定にはなかった青島 刑事のあわや?殉職シーンが入ったらしいとか。
ちなみに今回のサブタイトル「レインボーブリッジを封鎖せよ」も同じく 亀山プロデューサーが、「昔の娯楽映画みたいでいいですよね」と言った ために、当初の予定になかった、レインボーブリッジ封鎖シーンが付け 加えられたらしい。
これは思わず買ってしまった、「踊る大捜査線 The Movie2−レインボ ーブリッジを封鎖せよ−完全調書」の中にあった。
この本、今回出版された舞台裏本の中では、スタッフ、各キャストたちの インタビューが載っており、各人の思い入れが伝わってくるので、個人的 には結構オススメである。
で、話を君塚良一著、「テレビ大捜査線」に戻すと、この本の別の箇所に ちょっと、おおっと思った部分があったので引用しておく。
突如、脚本が1行も書けなくなった著者、君塚良一に対して、一緒に飲ん でいた先輩がこう言う。
「適当に書きゃいいんだよ」
一瞬ムカッとした。あ、そうか、やっぱりこの人もわかってくれない。(略) すると、彼はこういうのである。
「お前、適当って言葉がどういう意味だか知っているのか?」 「そのくらい知ってますよ。手を抜いて、まあ、そこそこに」 「ちがうな」 「?」
「お前は今、人に誉められたいと思っている。世間の評判ばかり気に してる。肩に力が入ってんだよ。それで、いいのなんか書けるわけない だろ。野球だって、肩に力が入ってたら、いいスイングなんてできない だろが。適当って言葉は悪い言葉じゃない。自分にとって、ほどよい力 って意味だ。力まずに自然のままの自分を出せば、いちばんいいものが 生まれるんだ」
びっくりした。そんな発想は私の中になかった。(略)
いつからか人は、親や学校や会社から自分の能力以上のものを求められ るようになった。人はいつも緊張し、我を忘れ、無駄な力を込めて無理な 背伸びを始めた。そうしない者は駄目な人間と呼ばれる。あいつは適当で いい加減なやつだと。
S氏の話は続く。 「適当に、いい加減に仕事をするっていうことは大切なんだぞ。無理し たり、かっこつけたりしたら、自分を見失って本来の力も出せなくなって いい仕事なんかできない」
彼の言葉で、わたしの肩に乗っていた大きく重いものが、はがれるよう に落ちた。(略)
と、まあ以前も取り上げた私の人生のモットーの一つである、「テキトー でいいかげん」の境地についての文章なんだけど、読んでてちょっと うれしくなったので、ここでちょっとご紹介しておく。
うん、結局いいパフォーマンスを生み出すためには、適当にリラックス することが大切なんだと思うのだ。
それはいくら「根性出せ」と言われたからって出るもんでもないと思うし。 そんな風にプレッシャーに真っ向から立ち向かう必要はあえてなく、 むしろプレッシャーの状況をハスに構えて見る位のリラックスした状況 があった方が、よりよい結果を生み出せるんじゃないのかな。
という事で、私はますます適当でいい加減に、精進しようかな、と思う のだ。
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