パラダイムチェンジ

2003年04月19日(土) 気になる新聞記事

今日は新聞ネタから。
うちは去年から、仕事場で毎日新聞をとっている。
インターネットや、TVのニュースがこれだけ花盛りの今日、
新聞に載っている情報なんて、大したものがないとつい思いがち
だけど、たまにふと目がとまる記事があったりする。

私が考える新聞の効用とは、そんな風に紙面をザッピングしていく
中で、普段の関心から外れた分野でも、時々目にとまる、という事
だろう。

これが例えば、ニュース系のポータルサイトの、見出しだけでは
なかなか目に留まらなかったりする。
なぜなら、インターネットの場合、画面の大きさの問題もあって、
分類が細かくなりすぎるからかもしれない。

新聞を全部広げた大きさが、A全版だかB全版だか、詳しい大きさは
忘れてしまったけど、その紙面の大きさだからこそ、ふとした時に
目に留まる記事もあるんじゃないかな、なんて思うのだ。

などと御託を並べるのはこれぐらいにして、
まずは こんなコラムから。これは昨日の紙面に載っていた文章。
前回、あの家族と両腕を空爆によってなくした、アリ・アッバス君に
ついて触れたけど、彼に対する英米メディアの反応についての小さな
コラムである。

この記事によると、アメリカメディアではこの事は取り上げていない
らしい。
まあ、取り上げ方にも問題はあるわけで、ただ単に同情を誘うかの
ような取り上げ方だと、アッバス君のように「僕は見世物じゃない」
って事になるわけだけど。

「同情する」っていうのは、高いところから人を見下ろしている時に
現れる感情であると思うし。
余談ながら自分の経験を話せば、例えばリハビリに来ている患者さん
たちは、基本的に「同情される」ことを嫌うし、技師である私たちも
彼らに共感することはあっても同情はしない。
おそらく「同情」は相手のプライドを傷つけるんじゃないかな。

ただ、彼のような存在があるからこそ、空爆の悲惨さをお茶の間に
伝えることもできるわけで、難しい問題である。

でも、本来報道として「知らせる」べきなのは例えばこういう事が
戦争によっておきますよ、という事実の報道であり、そこに変な同情の
押し売りを結び付けるべきではないと言えるのかもしれないし、
また、その事実を報道機関が勝手に「自主規制」して伝えないというの
は、普段知る権利がどうのこうの、と言っている報道機関としては
いかがなものか、という気がするのだ。
全く中立で、何もバイアスのかかっていない情報なんて、ありえない
とも思うけど。

イラク戦争については、毎日新聞のニュースサイトに載っていた、
曽野綾子のインタビューも面白かった。
「民主主義とは、電気の通じる国だからこそ可能なシステムです。」
っていうのは物事の本質を捉えている言葉かもしれない。

すなわち、便利さと共にあるからこそ、私たちは民主主義というシステ
ムに価値を見出している部分ってあるのかもしれないと思うのだ。
最近中国が、経済の発展と共に、とみに民主化されてきたかのような気に
なるのはそのせいなのかも。
ついでに言えば、北朝鮮も、そんな便利さの恩恵を一般民衆が享受する
ようになれば、簡単に「民主化」してしまいそうな気もする。

ただし、中東の場合は事はそんなに簡単には進まないようであるが。


そして最後はちょっと趣向を変えて、4月14日の教育関係のコラムに
のっていた、カルロス・ゴーン のインタビュー記事。

カルロス・ゴーン日産社長に関しては、自分の日記でも時々取り上げ
ている、私の好きな人物の一人である。
それは、日産の傾いていた業績を立て直したから好きなのでない。

彼の発言がとても説得力に富んでおり、そして個人的に興味深い発言が
多いからである。

今回の記事で言えば、
「プロは物事をシンプルにし、アマチュアは複雑にする」
とか、
あえて一つ挙げるとしたら「問題から逃げるな」と言いたい。
など。

彼自身の言葉がシンプルで、そして人の心に響く言葉である気がする。
それは、彼自身の経験に裏打ちされた言葉であるからこそ、その言葉に
説得力があるのかもしれない。

本当の意味で知恵がある人って言うのは、そんな言葉がポンポンと出て
くる人であるような気がするのだ。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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