さて、前回の続きで政治について考えてみる。 最近めっきり交渉が滞ってしまった、北朝鮮問題である。
北朝鮮、最近またやたらとニュースをにぎわせている。 この2ヶ月間で、ついに判明!北朝鮮の実態!なんてTV番組で どれだけの時間流したんだろう。
でもその大半は、今までにも目にする機会の多かったものだった。 中国との国境で、貧困にあえぐ北朝鮮の小さい子供、とかね。
要は、10月の拉致被害者帰国という、インパクトのある きっかけがなければ、今までは単なるベタ記事扱いだったものを 在庫一掃セールとばかり、一気に棚卸しているのが、マスコミの 現状だろう。
さて、そんな加熱した日本の北朝鮮報道が影響しているのかどうかは 定かではないが、日本と北朝鮮の国交を正常化しようという、枠組が ぐらついてきてしまっている。
ここではあくまで北朝鮮政府、つまり金正日政権についてのみ語る けど、彼らの政権が、いまいち国際的な感覚と信用に足りない国だ というのは、最近の報道を見ていても明らかだろう。
不審船でミサイルを輸出していたり、今度はミサイルの実験や 核開発の再開をすると一方的に宣言したりとか。 ぱっと見た目、きかん坊が暴れているような印象の報道ぶりだ。
でも、問題を世間の一般論から政治の世界に移して考えるとき、 だから北朝鮮は信用がならない、と立場を硬直化してしまって 果たしていいんだろうか?
もともと、北朝鮮との国交を正常化、すなわち回復しようとしていた のは、そういう国に対して、少なくともお互いにルールを守る関係に なりましょうよ、と歩み寄ることが目的だったんじゃないのかな。
言っている意味がいまいち伝わっていないかもしれないから、あえて 具体例として出してみるけど、たとえば拉致被害者の家族の問題。
とりあえず拉致被害者は、北朝鮮には帰さない、そしてその家族も 日本に帰さなければ、国交の正常化は認めない。なぜなら彼らは信用 するに足りないから、って言うのはひとつの論拠としては理解できる。
でも、本当の意味であの拉致被害者やその家族の幸せを考える んであれば、日本と北朝鮮の国交が正常化して、あの家族が日本と 北朝鮮を自由に行き来できる環境を整えてあげることが先決のような 気もするのだ。
これが理想論だというのは認めるけど、でもそういう理想を実現する ために政治って言うのは、存在するんじゃないのかい?
今回の平嬢宣言、これは素人の勝手な推測だけど、恐らくは北朝鮮と 日本の外務省の間で、とりあえず拉致被害者を日本に帰国させる、と 言うところで合意がとれていたんだろう。
もしも、北朝鮮と日本の外務省の筋書き通りに物事が進んでいれば、 北朝鮮は拉致と不審船を認め、その代わりに日本からの各種援助を 受け取る。北朝鮮は名を売り、実をとるつもりだったと思われる。 そしておそらく、拉致問題はこれでお開きになっていたはずだ。
その一方で、アメリカに対して、核実験をしているということを 明らかにして、アメリカからも更なる援助を取ろうとする。
つまり日本の平嬢宣言で合意された核やミサイルの問題なんて、 実は日本はかやの外。北朝鮮の筋書き通りに物事が進めば、 日本はまた、外交上で大きな恥をかかされていたに違いない。
だからその意味で言えば、今の状況って言うのはそんなに悪いもの ではないと思う。少なくとも日本にとっては。
でもその上で、あえて政治に苦言を呈せば、ひとつの選択肢が駄目に なったのなら、その上で新たな合意を得るための、枠組を作るだけ の柔軟性が何故、ないんだろう?
論理が勝手に飛躍するけど、そんなんじゃデートしたって女の子一人 満足に口説き落とすことすらできませんぜ。 相手が今度は面子という名を求めているのなら、相手に名をあげて その分ちゃんと実を取る方法を考えればいいのに。
もしくは、相手に甘い飴をあたえる代わりに、国際的な2国間の ルールをちゃんと守らせるという、厳しい条件を相手に呑ませる 可能性だって今の日本にはあるのに。
今のままでは北朝鮮政府は、ますます窮鼠となっていくだけだろう。 まるで親や先生から理解されてないと、暴れることでしか自己表現 できない若者のように。
物分りがよくなる必要はないけれど、その一方で厳しさも伝えられる ような、柔軟性のある大人が、日本政府内にいればいいのに。 いないんだろうなあ。
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