やはりこの作品にも触れなければなるまい。 2日間で、驚異的な視聴率を記録し、おそらくは日本中の 人を感動させたであろう、このシリーズ。
実は個人的にはやっかいな存在だったりする。 どの辺が厄介なのかというと、主人公、純君と年が近いため 今まで身につまされるというか。
少年時代のTVシリーズの頃は、おー、頑張っているなあ、 って感じだったんだけど、84年、家を燃えてしまうあたり からは、なんか真正面からは見られなかったりした。
さすがに彼ほど波乱万丈の人生は送っちゃいないんだけど、 ちょうど自分の思春期からその後、ちょっと人生の寄り道を 送るあたりに重なっていたので、彼がフラフラとするのを 見るのは、いくらドラマとはいえ、ちょっとだけつらかったのだ。
聞けば、純役の吉岡秀隆にしても、あのキャラクターは 嫌いだったとか。 そうだよなあ、自分とは違うキャラなのに、世間は純君で 認知しているんだから。 本人としては相当納得いかなかったに違いない。
で、今回の最終シリーズに関しては、実は正面から見ることが できて、しかも面白かったのである。
今回の作品は黒板一家が中心というよりは、彼らをとりまく 周囲の人びとにスポットライトが当たっていたせいかもしれない。
地井武男役の社長が、ガンで奥さんを亡くしたのは、実は地元 富良野で同じく木材業を営んでいて、その役のモデルの社長さん 自身が、ガンで奥さんを亡くした実話を元にしていたらしいし、 その役を演じている地井武男自身もガンで奥さんを亡くした ばかりであったらしい。
だから、奥さんのガンが再発した、と社長が告白するシーンは 演じていたというよりは、本心からのマジ泣きだったという。
そしてもう一つは、最終シリーズにして初めて純君が自分の人生に 覚悟を決めてくれたのがうれしかったのかもしれない。 今まで反発していた父親の生き方を、肯定できるようになった事で 最終回らしく、大人になった純君を見られたのは、うれしかった。 「父親のように、金儲けをしなくても生きてはいける」という セリフが、自分の心にも響いてきた。
しかし、その一方でこうも思う。 北の国からって、バブルがはじけ日本全体がイケイケどんどん、の 時代で無くなってしまったからこそ、五郎さんの生活を、私たちが 受け入れられるようになったのかもしれない。
もしも、今現在もバブルが続いていたら、黒板一家の生活は、ただの 好奇の目でしか見られなかったんじゃないだろうか。 もちろん、それでも五郎さんはたくましく生きていったと思うけど。
今回登場した唐十郎は、まるで昔からの登場人物であったかのように 北国で生き生きとした演技を見せてくれたし、内田有紀は、とても かわいかったと思う。
舞台を経験してきた分、演技にも深みが増していたと思う。 もしも、このまま吉岡君と結婚してそのまま引退してしまうのは ちょっともったいないと思わせるくらいよかった。 彼女もいい意味で人生を感じさせる女性になったと思うので。
それにしても、相変わらずエロいぞ、黒板五郎。 あと、布施博がセリフもなく、ワンシーンくらいのカメオ出演 だったのは。ちょっぴり切なかった。最終回なのに。
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