パラダイムチェンジ

2002年06月30日(日) 本の効用

前回の日記で、北村薫の「六の宮の姫君」を取り上げたんだ
けれど、
続編が読みたくなってしまったので、つい本棚から引っ張り出して
読んでしまった。

北村薫著、「朝霧」(東京創元社刊)。残念ながらまだ文庫本化は
されていない。
これはある意味、部屋のそうじをはじめたつもりが、いつの間にか
昔はまったマンガ本を全冊読んでしまった状態に、似ているかも
しれない。

個人的には、昔読んだ本をもういちど読み返すのって結構、
好きだったりする。
昔、気になった文章に再び出会うと、なんか懐かしい気持ちが
よみがえって来たりするし。

「朝霧」を最初に読んだとき、自分の心にひっかかった言葉は
以下の文章である。
「いやだなあ、僕は。―いいかい、君、好きになるなら、
 一流の人物を好きになりなさい。―それから、これは、
 いかにも爺さんらしいいい方かもしれんが、本当に
 いいものはね、やはり太陽の方を向いているんだと思うよ。」

この文章に最初に出会った時の自分は、もうすでに学生では
なかったけれど、まだ世間に出たばかりの柔らかな心を
持っていたのかもなあ、と感慨にふけってしまった。

たかだか数年前のことなのに、人が年月を経ていくうちに、
忘れてしまうものって、色々と存在している。

本に限らず、昔書いた文章なんてのを読み直すと、その当時の
気持ちなんていうのもよみがえってくる。
なんとなく、まぶしいような、くすぐったいような気持ちを
思い出させてくれること。
本にはそんな効用もあるような気もするのだ。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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