パラダイムチェンジ

2002年05月20日(月) サッカー日本代表(3)「6月の軌跡」を今読む

などと色々とゴタクを並べてはいるが、実は単純に今回の
日本代表には期待している。
ただし、それは必ず彼らが決勝トーナメントに進めるとか、あまつさえ
優勝するのではないか、っていう期待ではない。
彼らが実際どこまで進めるのかは、サッカー素人の
自分にはわからないし。

ただ、たとえ結果がどんなことであれ、彼らは彼らなりのベストを
尽くすだろう。

昨日もちょっとだけ触れたが、「6月の軌跡」(文春文庫)という本がある。
スポーツライターの増島みどりが、98年フランス大会に出場した選手、
監督そしてスタッフが何を感じたかを、インタビューしてまとめた本だ。

あの当時、日本が3戦全敗した事もあって、彼らの生の声をメディアで
聞くのは難しかった。この本はしばらく経った後に、重かった彼らの
口を開かせた、貴重な本だと思う。

そして今、この本を読み返してみると結構面白い。
例えば、昨日も触れた、カズが代表から外れた日について、城彰二は
カズが外れ、自分がFWの中心になることについて、
「怖かった、心細かった眠れなかった」と、後に語っている。

結果論を言えばきりがないが、もしもあの時、カズが残っていたら、
彼はもう少しのびのびとプレーできたかもしれない。

そして今回残念ながら出場できなかった名波選手は、
「3敗した。周囲はそれだけを言うだろうけど、自分たちにとっては
そうではない。起きたこと、感じたこと、すべて整理して心に
しまおうと。自分たちは結果が出なかったことにこだわらなくては
いけない立場だからこそ、黙っていることであそこで感じたことを
生かしていくしかなったんです。」

「世間は結果の3敗だけを言うようになると思うし、それでいい。
でも、あそこで感じたもの、見たもの270分のプロセスすべてを
オレは絶対に忘れない。1分1秒を絶対に風化させない(略)」
と語っている。
つくづく、彼がこの大会に出れたらなんて言ったのだろう、そして
前回の体験をどう生かしたのか、聞きたかったと思うと残念なのだが。

前回のフランス大会に行って、今回も選ばれた選手は以下の通り。
森島、服部、小野、市川、秋田、川口、楢崎、中山、中田。
このうち、森島、服部、小野、楢崎、そして市川はサブのメンバーで、
残念ながら、あまり活躍することは出来なかった。
当時はレギュラーとサブの間には、ものすごい壁があり、サブは最後まで
サブとしてしか存在できなかった事も、書いてある。

そして彼らが今は、日本代表のレギュラーとして活躍する立場にある。
今回のチームでは、誰もが出場し、活躍する可能性があると思う。

秋田は、最後のテストマッチで出場機会が得られなければ、
本戦には出られない可能性も高い気がするけれど、
それでも試合に出れるかもしれないって思うことは
彼らのモチベーションを高めてくれるだろう。

トルシエの采配がどうであれ、本番で活躍するのは彼らなのだから。
この4年間で、彼らがどれくらいのバリエーションのある、
想像力あふれるプレイが出来るのか、自分が期待しているのは
そのパフォーマンスであり、彼らが何を感じたのかを、
語ってくれる声だったりする。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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