掛川奮闘記

2003年11月14日(金) 031114_お蕎麦の汁作り

【退公連で講話】
 退職公務員連絡協議会、通称「退公連」のお招きで、講話をすることになった。

 タイトルは「当世単身赴任事情〜家庭と父親を考える」というもので、一時間をいただいた。

 「退公連」という、公務員を退職した方達の集まりと言うことだが、公務員時代の職業を伺うと、約八割が教職員の皆さんだというので、子育てのお話をする。

 子供が学校へ行けなくなったときの話で、親であることとか家族について深く考えたことについて、いろいろとお話をした。

 親は真面目に生きて、そんな背中を子供に見せていれば自然に育つはず、というのは幻想である。親はもっと真面目に真剣に子供に目を向け、関心を持ち続けなくては駄目だ。

 しかし、そんな経験は私や家族の絆を強くする結果となった。苦労を超えると人間は強くなるものだ。「人間万事塞翁が馬」だ。

 今日の苦労や悲しみは、きっと明日の喜びにつながるに違いない。私自身、この経験から父親としての自覚も強くなったし、社会に積極的に関わることの大切さも知った。

 

 地域社会や学校へもっと関わるために、札幌の中学校で父親の会ができると聞いて真っ先に設立に参加もした。
 今ではこの「おやじの会」は札幌でも話題になり、他地区にも良い影響を与えていると聞く。

 父親は家族という小舟の船長だと思った。いろいろな事を子育てから学んでいる。

 …そんなお話をさせていただきました。さすがに元先生だけあって皆さん子育てには関心が深く、私のお話を熱心に聞いて下さいました。

 中には終わった後に控え室までわざわざ「感動しました」と良いに来た方もいて、こちらも嬉しくなりました。

 親にとって子育ては永遠のテーマです。

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 お話の最後にはちゃっかりと、明後日の手打ち蕎麦のイベントも宣伝しておきました。

 世はなべて宣伝宣伝、と。 

【蕎麦の汁つくり】
 さて、この日最大のイベントは明後日の汁作りです。

 そろそろ寒くなってきたこともあって、手打ち蕎麦のイベントでは掛け蕎麦を提供することを決断しました。

 一緒にやって下さるNさんは、「掛け蕎麦ですか〜、うーん…」とやや難色を示しました。それもそのはず、同じ蕎麦イベントでも盛り蕎麦と掛け蕎麦では「掛け」の方がお出しするのに手間がかかるのだ。

 つまり、盛りそばであれば「茹で」て、「洗」って「冷やし」て汁と一緒に提供しておわり、なのが、掛け蕎麦になると「茹で」て、「洗」って「冷やし」て、「もう一度ゆがい」て、「温かい汁を掛ける」という工程になるのである。

 汁だって温めておかないといけないので大きな鍋かたくさんのガスが必要になってくるし、放っておくと煮詰まるし、おまけに汁の量も三杯になるわ、で大変なのだ。

 しかしそれでもそろそろ季節は寒いはず。寒い皆さんのお腹と心を温めるには温かい蕎麦が必要だ!とばかりに、温かい蕎麦を出すことにしたのである。

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 それはそれで良いとして、問題は当日の朝に汁を作っているのでは間に合わないだろう、ということで、そのために今日中に事前に汁を作っておくことにしたのである。

 イベントでは300食を提供することにしたのだが、Nさんに百食分の汁と粉をお願いして、私は200食分の汁と粉を受け持って当日持ち寄ることにした。

 さて200食分の掛け蕎麦の汁と言えば、一杯300ccとして60リットルという量になる。

 とてもペットボトルで代用できる量ではないので、家の隣の大規模日用品店で20リットルのポリタンクを三つ購入する。

 鍋は蕎麦打ち仲間の方からコンロと20リットルはいる大鍋を借りてあるのでこれで出汁を取ることにした。
 
 しかしとても独りで出来るものではないので、職員一名S・J君に手伝いをお願いし、夜の八時頃から作業にかかった。

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 まさか家の中で三重巻きのガスコンロを炊く勇気はなかったのでベランダで作業をする。熱湯を入れてガスに火をつけると15分ほどでお湯が沸騰。そこへ270グラム入りの鰹節6袋を惜しげもなく投入。

 ぐらぐらと煮立てること30分で鰹を取り出して、これは全部捨てちゃう。「もったいない」という声が聞こえそうだが、美味しい汁を作るためには仕方がない。典型的な男料理である。

 鰹節をどけてからさらにペーパータオルで細かな屑を濾して、きれいな汁に仕上げる。最終の量に対して鰹節は普通は3%と書いてあることがあるが、蕎麦の本では7%くらいが良い、と言われる。

 つまり最終で10リットルの出汁を取ろうと思ったら、7%では700グラムの鰹節を入れて煮出し、最後にお湯が蒸発して少なくなったら水を足して10リットルにすればよいのである。

 私の場合は経験上、つけ汁ならば11%でかけ汁ならば8%あたりが標準だと思っているのだが、今回は9%以上の出汁を取っている。まさに渾身の贅沢なだし汁だ。

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 作業は最初のうちは手間取って二時間近くかかったのだが、二回目からは余計な手間を極力省くようにして約一時間で済むようになった。

 この熱い汁をあらかじめ薄めるための水を入れたポリタンクに注ぐ。分量は17.8リットルになるように調整をする。この量に鰹節1.62kgで約9%というわけだ。

 そうしておいて、17.8リットルのだし汁にこれまた一カ月前から仕込んである「返し」2.2リットルを注ぎ込むと20リットルの掛け汁ができあがる。出汁と返しの比率は8:1である。

 この作業を全部で三回行って掛け蕎麦用の汁60リットルができあがったときには時計は夜の一時を回っていた。ふー、苦労した。

 手伝ってくれたS・J君もこの工程に度肝を抜かれたようで、「これを見るのと見ないのでは蕎麦を食べるときの感激の度合いが違うと思いますよ!」とのこと。みんなの知らないところで結構苦労をしているのである。 

 さてさて、これでやっと準備の第一段階が完了。あとは明日道具を会場に搬入して、本番は明後日である。

 そろそろ緊張してきたなあ。300食売れなかったらどうしよう。そうそう、スタッフに当日の持ち場と作業内容を教えるマニュアルを作らなくては。

 まさに戦争を始める前はこんな心境なのだろう。   

【今日のニュース】
 そう言えば今日は弟の誕生日だった。札幌の家族は明日実家を訪ねてごちそうを食べるのだそうだ。むーん、いいなあ…。
 


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