くじら日誌
温かい、紅茶を傍らに。
穏やかで何もない日々だけれど。
せいいっぱい、生きよう。

2010年02月23日(火) さようなら

「引越しをするけれど捨ててはまずいものはあるか」という旨のメールが届いた。
父からだった。

弟に連絡をしてみた。
昨年の3月には自己破産が決まっており、
今年の3月で土地と家を手放すから引っ越す、との事。
父からはそのような説明は一切ない。
昨年のうちから自己破産の事は知っていたけれど、
わたしから「どうして引っ越すの?」とは聞かなかった。
もう意味のない事だと思ったから。
父はわたしに説明をするつもりもない。だから言わない。だから聞かない。

父には愛人がいる(らしい)。半年ほど家に帰らなかった事もあるそうだ。
それを非難するつもりもない。非難する価値もない。
しかし母が可哀想とも思わない。
父も母も、夫婦であることを続けていく努力を怠った。その結果だと思う。
結婚し、子を産んだ今だからこそ、そう思う。


でも。
父に「愛人」という歪んだ関係だとしても心の拠りどころがあって良かったと、
どこかでほっとしている自分がいた。
冷め切った夫婦。息子とは会話すらなく。わたしは嫁いだ。
家にいることほど苦痛であることはなかったのではなかろうか。
大金を貢いでいるらしいから(その為に自己破産に追い込まれた)、
その罪は重いとは思うけど。
今年還暦の彼は少なくとも独りではないのだな、と他人事のように安堵した。

そう他人事。
もはや実家を敬遠しているわたしには、もう他人事でしかない。
他人事でなくなったときの事を考えるとゾッとして眠れなくなるから考えないようにしている。

他人事でなくなったとき。
うすいさんにも息子にも義両親にも迷惑をかけるときだ。
わたしのせいで迷惑をかけるときだ。


だから何度もでも聞くし、いつも思う。
「わたしと結婚して本当に良かった?」と。


実家に置きっぱなしのものは全て捨ててもらおう。
あの家の子供だった事を忘れてしまいたい。
昔のわたしはもういない。いないよ。さようなら、わたし。


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