たくさんの鴉と青い夜明け
まっさらなしろが啼く
わたしには眩しさが過ぎる
凍ったような風見鶏
薄桃いろの夕方
熔けるようにねむって
醒めたはなにもないくろ
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視得てしまう、というのはとてもくるしい。もっと愚鈍に生きていればなにもつらくもなかったのか。ただこの眼前のせかいから眼を離してはいけないような気はする、逃げたい、逃げられない。急に視界がクリアになったときのちょっとした絶望感、この視界はもう外せない。無意識ほど怖いものはない、だって「気付いていない」。今迄生きて来た中で気付けなかったということは未だ気付いていないものも沢山あるのだということ。思い知らされると同時に、知らなくても良かったと莫迦なことをおもう、わたしが足掻いたってなにがかわるだろう、絶望的なほど此の世界に染み付いている大きな意識が。