少し走ると終電の一本前に乗ることができた。 先週から休みなしで突っ走り、 ときどきタクシーのお世話になった今週の終わりは、 なんとか一日だけ休みを貰って終えることができる。
その終電の一本前の地下鉄は少し混んでいたが、 奇跡的に座ることができた。 ふとみると向かいの席には携帯を一心に見つめる女性。 顔は整っているが下半身が太い。 左隣はやせたおっさん。右側は興味なし。
向かいの女性がこちらを見る。 別に視線をそらすでもなく、僕はぼぅっと前を向いている。 よく見ると、彼女の顔は少しゆがんでいる。 疲れているような表情。
左隣のおっさんはおもむろに携帯電話を取り出し、 女性の写真を見始めた。 横からは色相が反転してよく見えないが、 単なるスナップ写真のようだ。 それでも、彼はいとおしそうに見ている。
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君は今日、どんな格好で、 どんなことをして、 どんなものを食べて、 どんなことを想っているのだろうか。
君の写真を見る。 凄く楽しそうだ。
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