きりんの脱臼
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ここは、なかはられいこ(川柳作家)と村上きわみ(歌人)の
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ぬくもりを分け合うために愛し合うわけではなくて 海風の音 水須ゆき子
夜の海をただよっている海月のことなどを思いながら寝ころんでいると、 どこまでがわたしで、どこからがあなたか、 なんて、どうでもいいことになってしまう。
とりかえて、いれかえて、 なつかしい者になってゆく手続きのために、 なんべんも抱き合ってはくすくす笑っている肉体。
岬の突端まで歩いていったことがあったでしょう?
愛していないって十回ずつ交互に言い合って。
たのしい夜だったね、あれは。
水平線には、ビーズを並べたように小さな船がたくさんひかっていた。 つまみあげようとすれば呪われるひかり。 息を、うんと深く吸ってからふりかえる。
あなたは蔓草のつるを念入りにほどいていた。 まるでオルガンを解体するような手つきで。 わたしは気づかれないように息を細く吐く。 うれしいのかくるしいのかわからなくなって。
むごい手は、うつくしい手。
ねえ、ほどかれたつるはあのあとどうなったの?
水滴をいくつもむすびわたしたちあけがたの森のようにすずしい 村上きわみ
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