あお日記

2002年11月06日(水) 虚無感


 強烈な虚無感に襲われた高校2年の秋、あの時の私は嶋さんに対してとても加減して手紙を書いた。書くこと自体を控えたと思う。当時にしか伝えきれないことを隠蔽したのは、それを伝える意思に至らなかったという単純な気分のせいだった。当時から自分の感覚として持っていた「心から信頼し合える相手」、今思うと嶋さんは私が初めてその可能性を感じるような人だったのだろう。幼かった私はそれと恋愛とを混同することができなかった。奥底にある甘酸っぱい感覚に気付かないフリをしていたら、本当に彼女のことなど投げやりにしてしまった虚無感が強まってきて、手紙を書きたい衝動を簡単に押さえつけてしまった。そんな日々の繰り返しで過ぎていった高2の秋。

 卒業してすぐの初夏に襲ってきた虚無感は昔経験したものとはちょっと違った。嶋さんと久々に再開した文通で浪人生活の激励を受けた直後の状況変化にあっさり対応せず、己の矮小さを自らに知らしめた入院後の日々は、自分でもそれが分かっていながら改善する気力の沸いてこないような、今でいうところの自堕落なものだった。2週間余りの入院生活はまさにぬくぬくとした温室にこもったようなものだ。一度弛んだ緊張感を拠りどころに目の前にある面倒なことから逃げたがっている子供だ。

 ...とまあ年を取った今書くからこういった「自己逃避的」な自分のように書くわけで、実際あの頃の自分は冷静に振り返るとまさにそうだったのだから弁解はしない(笑)。ただ当時の自分がそれに気付いていなかったことが問題なのだ。正直どんな心境だったか昔のオレに聞いてみたいね。

 そしてさらにこれが大問題になっていくのは、それが長期化の様相を呈してきたからだ。嶋さんと縁を切ることは、残念ながらそういった日々の象徴的なプロローグになってしまった。



 < 過去  INDEX  未来 >


あお [MAIL]

My追加