この頃の私は、自分がどこへ向かおうと心に思っているか、なんとなく分かっていた。今思うととんでもなく子供な挫折っぷりなわけだが(笑)、当時の自分の器には一杯いっぱいで何も考えたくないような状態だった。結局自分は高校2年の頃に感じた末期的な自分に逆戻りしてしまったようだった。その当時から悩んでいた嶋さんとの関係に終止符を打つ時が刻々と近づいてきたようだ。これは多分に自惚れも含まれていると思うが、私の持つ影響力が彼女に悪影響を及ぼすのなら私は彼女から離れないといけない、そう思っていた。彼女には私のような精神状況になってもらいたくはなかったし、彼女に私を救ってもらいたい訳でもなかった。いや、もしかしたらこのまま大人になっていく彼女を見ていくのがイヤだっただけかもしれない。
事実として彼女は当時私が思い悩んでいたようなことを突き詰める学問への門戸を通っていった。彼女はとても聡明で素直な恥ずかしがり屋だったが、それでいて芯の強い女性だった。彼女はとても素敵な人だ。それを私が侵食する理由はどこにもない。
筆の進まない日々を過ごしながら、そのことさえどうでもよいような気持ちになっていく自分に歯止めが掛からなくなっていった。結局私は薄っぺらい信頼関係が壊れたくらいで思い悩んで立ち止まってしまうような人間で、それを「世の中はこんなもんだ」と勝手に解釈して自分を納得させているだけの弱小な子供でしかなかった。自分の意志の固さを「社会からの逃避」に依存させているだけの意気地なしだった。簡単に言ってしまえば、「滅びの美学」に陶酔している青春時代だった(笑)。よっていっちゃん以外の女性に目を向ける暇もなく、当然嶋さんにそのかたがわりを求めるような発想もなかったわけだ。
けっこう頑固である(笑)。
|