あお日記

2002年10月04日(金) _/_/_/ いちごジュース _/_/_/ 

 先日のゴールデンウィークに彼女さんの家へ遊びに行った。

 彼女の娘さんに私の気持ちを伝えたあと(こう書くとヘン?/笑)初めて会う機会となった今回の日々を私は前もって想像しなかった。彼女さんと付き合い始めてから幾分楽観的になった私を彼女さんはそれを意外そうに指摘する。この日記や私が彼女に伝えてきた自身の過去の考え方からは「楽観」という文字は不似合いだったのだろう。


 その私の気楽さが打ち砕かれた今回の訪問。
 これまでも私は娘さんと、とても上手とはいえない接し方しか出来なかった。それでも彼女ちゃんは私と2人で映画に行ったりしても、2人で彼女さんの仕事の帰りを待っている時も、3人でテレビを見て談笑している時も、少しずつだが私にも馴染んでくれているような気がしていた。


 それが出会ったはじめの頃に戻ってしまったのはもちろん私の伝えた気持ちが原因なのだ。うまくは言えないが、彼女さんにも娘さんにも、「母として、母に恋人が出来る」という経験は初めてのことなのだ。仲の良い2人にとってそれが何を意味するのか、正直私には分からない。


 正味5日(もかよ/笑)の滞在の2日目あたりにはすでに私の中に後悔の念がこみ上げてきてしまった。実際直面するとこんなにヘコむものだと知った。彼女さんが仕事から帰ってくるまで居間でテレビを見ていることが多いのだが、それまでは学校から帰宅すると彼女ちゃんも居間で宿題をやったりネットサーフィンをするような感じで気兼ねなく自分の家でいつも通りの生活であろう姿を私がいてもやってくれていた。
 それが今回は自分の部屋に閉じこもって居間には来なくなってしまった。彼女ちゃんの大好きな夕方のドラマもアニメも私は一人で見ていた。彼女ちゃんがドカドカと居間に入ってきて一緒に見てくれることを年甲斐もなくドキドキしながら待っていたが、果たしてそれは訪れない。


 4日目の朝、今思い出しても忌まわしいのだが、不覚にも私は自分のその落胆を隠せなかった。「ああ、今顔に出てるんだろうな」といった思いはあっても、それを大人気なくそのままに、朝食を食べた。彼女さんは気を使ってくれたのか、「朝早いから一緒に食べなくてもいいよ」と言ってくれた。けど私は3人でいる時間が好きだったのでその申し入れを断った。
 なのに私は初めてこう思った。
「もう家に帰ろうかな」 それは自分にとっても意外で、情けない気持ちだ。自問自答を繰り返しても出てくる結論なんか決まっているのに、何をそんな逃げ腰になっているのか、情けない気持ちだ。


 が、いざという時に打ち勝つのが自分の正直な気持ちなのだろう。半日考えても堂々巡りだったが、娘さんが学校から帰ってくるときのバタバタと階段を駆け上がってドアをバタンと閉めるその音で私は覚悟を決めることにした。
 

 「おかえり」

今回の訪問の中でもいちばん大きな声で私は言ってみた。するとすぐに「ただいま」と返事が返ってきた。それはこの訪問ではじめて彼女ちゃんが口にした帰宅のあいさつだった。


 帰宅して少しすると、自分の部屋からやってきて台所でなにやら始めた彼女ちゃん。どうもミキサーでいちごジュースを作るらしい。私はこれまで通りの私のスタイルを疑問に思いつつも、以前まで接していた通りに聞きたいことは聞き、話したい時に話した。そして彼女ちゃんもこれまで通りの態度を示してくれていた。
 が、そんなに一度に事態が自分に都合よく回るものでもない。彼女ちゃんはジュースを作り終えるとまた自分の部屋に行ってしまった。ただ図らずも、私の前には同じいちごジュースのマグカップが置かれていた。娘さんは私の分も用意してくれたのだ。


 その味は甘さ控えめで少し酸味が舌を刺激するものだった。が、ホイップされた牛乳の泡がきめ細かく柔らかで、優しい味がした。「ランチの女王」を見ながら、その泡を氷と一緒にコロコロと、飽きることなく転がしてみた。それはきっと、早く今の気持ちを彼女さんに伝えたい、その所作だったはずだ。



 ただ私は帰宅後の彼女さんにそれを目一杯は伝えなかった。何故かといえば、今日この場で日記に書きたかったからだ(笑)。

 今日は彼女ちゃんの11回目の誕生日。あとどれくらい数えたらこの日のいちごジュースの味について語り合えるのか分からないが、この瞬間に私がどれほど嬉しい気持ちになったか、2人を好きになって良かったと思ったか、それを伝える日がやってくることを祈りつつ今日は筆を収めよう。



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