この年もまた秋の修学旅行シーズンが我が校にやってきた。
夏に計画したとおり、3日目あたりの班行動で抜け出す算段がたったらしく、先輩がいっちゃん舞ちゃん達の旅行にお忍びで参加する予定が実行された。
私は参加しなかった。夏から文化祭まで続いたあの仲間たちを包んでいた熱気があれば有無を言わせずに参加したのだろうが、すでに私にはそれがなかった。ただ、それは冷めたというのと同義ではない。その後続いた彼女ら2人とラザと私の4人で過ごした穏やかな日々が私は好きだった。私が望んでいたものはそういったなんでもない日々の延長にあるものだと思っていた。
「修学旅行に着いて行く」というオプションは魅力的で楽しそうな遊びではあったが、そういった私の中にあった理想に合致しない行動で、あっさりと私を制した。そして彼女達が帰ってきたらまたこれまでのように私の好きな穏やかな日々を過ごす気でいた。それが当然またやってくると思っていたしやっと手に入れたその蜜月を私は守りたかった。
もともと仲間たちにはクールで通っていた私だったので、今回の参加を断ったその行動はスカしているように映ったのかもしれない。冷めたと見られてもおかしくはなかった。あまり自分の気持ちを秘めすぎるのは考え物である。本当に友人と信じているなら信じ抜くべきなのである。私にはそういった下地がなく自分の考えを相手に伝える行為がその後もおろそかになっていった。
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