道化者の憂鬱...紫(ユカリ)

 

 

紫煙 - 2003年09月09日(火)

夜中にベランダの側に無印クッションを置いて
煙草の煙の行方を追っている。
夜の街並みは静かだけれど、ここは都内のわりと
ビジネス街であり、幹線道路沿いでもあるためか
たまにトラックだったり、バイクの音だったり、
コンビニで騒ぐ少年達の声が聞こえてくる。

行く宛のない煙草の煙を眺め、空を眺め途方も
ない喪失感に飲み込まれる。

「センセイ、私は治るんですか?」

「んー、こういうのは、にきびが治ったとかそういう
 目に見えるモノじゃないからさ、小さな目標みたい
 なのをたてて、少しずつ達成して行こうよ。ね。」

「はい。」

「だからさ、今週は切らないって目標にしよう。ね。」


そう言われてから、まだ切っていないけれど、
真夜中に嫌な汗を掻いて起きあがった時、
皮膚の下に虫がはいずり回ってる感覚がしてひきずり出し
たい欲望を絶叫をしてみたかった。

でも出来なかった。

だから私は薬箱を探して、言われたまま薬を飲んでいる。


行く先のない紫煙は私みたいなモノだと思いながら。



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