道化者の憂鬱...紫(ユカリ)

 

 

代筆7 〜夢〜 - 2002年09月18日(水)

柚子が帰ってきた。メールでやりとりして、夜中に電話した。会社で一時間も話
してしまった。成田からの帰り道でくれたメールの中でちょっとした気持ちのす
れ違いがあって、仕事がきつかったことも手伝ってか、どうやら電話に出た私の
声はそうとう不機嫌だったらしい。私自身は不機嫌というわけではないのだけれ
ども、どんな顔で話せばいいのか分からないような感じだった。柚子と話すうち
にだんだん気持ちのこりがほぐれてきて、笑顔が作れるようになった。と同時に
きつく抱きしめたい思いがものすごく強くなってきて、また笑えなくなった。感
情が行ったり来たりしていたせいで、オーストラリアが暖かかったのか涼しかっ
たのか、聞くのを忘れた。

私がイヤな夢を見た日曜日の夜、柚子もイヤな夢を見ていたらしい。電話がした
かった、声が聞けてよかった、そう言っていた。それを聞いて、どんな些細なこ
とでもいいのだ、と思った。どんな小さな理由であれ、愛している人から必要と
されているということがこんなにうれしいとは思わなかった。こうやって書きな
がら、胸が苦しい。柚子を抱きしめたい。切実にそう思っている。


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