川崎連絡会議日報

2004年06月24日(木) どうなる?! 鄭香均さんへの裁判(最高裁)

6月23日「朝日新聞」に鄭香均さんの裁判(最高裁)に関する記事が掲載されました。
「外国籍の門前払い、違憲判決見直しか 最高裁が弁論開催」
(http://www.asahi.com/national/update/0623/025.html
全文は最後にあります)

 今回、弁論を開くということは何を意味するのでしょうか。「『法の下の平等と職業選択の自由を定めた憲法に違反する』との判断を示した二審・東京高裁判決が見直される可能性が出てきた」(『朝日』)といっているように、高裁判決を覆す可能性が高いと思われます。(事務局 上田)


 私たちは、高裁判決について次のような立場を表明しました。
鄭香均さんへの高裁判決を考える
(98年4月11日集会での川崎連絡会議・見解)
http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index2.html

 高裁判決の評価すべき点としては、これまで川崎市をはじめとして多くの地方自治体において採用の判断としてきた「当然の法理」の論理が崩されていることです。「当然の法理」とは「公権力の行使または公の意志の形成に携わる者は日本国籍が必要」であり、外国籍者は一律、形式的に排除するというものでした。
 しかし、高裁判決は「公権力の行使」に携わるとされる職務についても「個々、具体的に検討することによって、国民主権の原理に照らし、外国人に就任を認めることが許されないものと外国人に就任を認めて差支えないものとを区別する必要がある」とし外国籍者の採用を認めるとしました。

 しかし、高裁判決の問題点は、、「国民」とは日本国籍を有するものとし、また憲法九十三条第二項(地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の議員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙する)でいう「住民」とは地方公共団体に住所を有する日本国民を意味するとして、外国籍者は「国民」としての権利のみならず、「住民」としての権利も保証しないと言い切っています。その上で、「国民主権の原理に反しない限度においてわが国に在住する外国人が公務員に就任することは、憲法上禁止されていない」としたことです。無条件に採用をするというのではないのです。こういう点では「当然の法理」の骨子、その核心的内容はそのままであるといっていいのではないでしょうか。一審判決での基本的な骨子と変わりないともいえます。

 ある意味では、矛盾した判決でもあったわけです。

 高裁判決は97年、それから約7年が経過しています。
 日本を取り巻く社会状況は大きく変化しています。一番大きいのは「有事法制」という日本が戦争をする法律体系が着々と作られ、自衛隊が「戦闘地域」そのものであるイラクへの侵略戦争に派遣されました。
 国民総体を侵略戦争に動員する国家体制が作られようとしています。

 他方、財界・資本(日本経団連(会長はトヨタ会長の奥田氏です))は、日本が生き延びるためには「東アジア経済圏」を必要だといっています。

 日本の政界、経済界が余裕がなくなってきているわけで、こんなときに在日外国人(朝鮮人)に「権利」(カッコつき)を認めることなどできないとでもいうのでしょうか。

 東京都石原知事の「第3国人」発言、また川崎市・阿部孝夫市長は「外国人は準会員」と発言、いまだ撤回はしていません。行政の長としての発言としては絶対許せないものですが、こうした発言も今の社会状況を映し出しているともいえるでしょう。

 私たちは署名活動を行っています。ご協力をお願いします。

 また、皆さんのご意見をお寄せください。

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(以下、全文)
外国籍の門前払い、違憲判決見直しか 最高裁が弁論開催
http://www.asahi.com/national/update/0623/025.html
 日本国籍がない職員に対し、東京都が管理職昇任試験の受験を拒んだことの当否が争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、9月28日に双方の主張を聴く口頭弁論を開くと決め、関係者に通知した。下級審の判断を維持する場合には弁論を開く必要がなく、「法の下の平等と職業選択の自由を定めた憲法に違反する」との判断を示した二審・東京高裁判決が見直される可能性が出てきた。

 訴えたのは都南多摩保健所の保健師で在日韓国人2世の鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さん。

 鄭さんは、86年に都が保健師採用要件から国籍条項を撤廃したことを受け、88年に外国人として初めて職員に採用された。94年に、課長級以上の昇進資格を得るための管理職選考試験に申し込んだが、「日本国籍が必要」として拒否されたため、受験資格の確認と200万円の損害賠償を求めて提訴した。

 東京地裁は96年5月、「憲法は外国人が公権力の行使や公の意思形成に参加することで国の統治にかかわる公務員に就任することを保障しておらず、制限は適法」として請求を退けたが、二審は97年11月、「管理職選考の受験機会を奪うことは外国籍の職員が管理職に昇任する道を一律に閉ざすもので違憲」とし、一審を覆して40万円の支払いを都に命じ、都が上告していた。

 公務員採用をめぐる国籍条項は全国の自治体で制限が見直され、門戸が広がっている。東京都は現在、都職員のうち警察、消防を除く79職種中、56職種は国籍に関係なく採用しているが、管理職登用試験を受けるには、日本国籍が必要と定めている。
(06/23 20:09)


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