パンドラの箱
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2006年12月18日(月) 裏腹。

「もう戻らないと」

そう言って去って行く人を、見送る。

その人には戻る場所があるのだ。
帰るべき場所。
その場所は決して私の入ることの出来ない場所。
そして、決して私と交わることのない場所。

悲しかったのだ。
そして、許せなかったのだ。
思い出の品を分かち合うことすら出来ず。
あまつさえ、全て私の手に残し、帰るべき場所へと戻ったその人を。

「おやすみ」

そう言って、私との世界を隔絶し、相見えない世界を創出するその人を。
狂おしいほど許せなかったのだ。



「いったん戻るね」

そう言って去って行く人を、見送る。

その人の戻るべき場所は
帰るべき場所ではない。
その場所は決して私が入ることが出来ない場所。
けれど、きっと私と繋がっている場所。

嬉しいのだ。
そして、愛おしく想う。
共有することが出来ない時間ですら繋がっている、そのことが。
そしてただ、深い愛情を一心に注いでくれるその人を。

「おやすみ」

そのひと言で私の元へと戻ってくるその人を。
心から狂おしいまでに愛おしいのだ。


こはる |MAIL

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