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2002年09月08日(日) 海、最終回『童心に帰た男』

 数々の事件を経て2日目の海はもう一つの浜辺興津海岸だ!っとその前にすっかり忘れていた人物が居た。あまりにも影が薄くて気づかなかったがまさにラストの主役!ひろあきくんだ。・・・そうです居たのです。こいつは皆が大きな荷物を背負う中、唯一手ぶらでやって来たふてぶてしい奴だ。従って当然海で遊ぶどころでは無いさんさんと降り注ぐ太陽の下でジーパンとアロハと暑苦しい姿でうろつく超鬱陶しい奴だ。死ねボケ!生きるな!息するな!しかしこんな人間の形をした動物でも海に入りたいのだろう・・・ふっふっ。おそらくこの土地で今年最後の海パンの飼い主となったヒロアキは昨日遊べなかったぶん弾けた!台風の影響で更なる勢いを増した大波に浜辺に立ったその瞬間から走り出し突撃した。ぶつかった・・・弾き飛ばされた・・・それはいつしか観たレッドリバー犬のよう・・・そう波と戯れていた・・・砂だらけになり、波にもまれ、体中から喜びを発散して楽しんでいる、まるで胎盤の中を浮遊する胎児である。それにしても游泳禁止になる程のこの荒波でこんなにも楽しく遊ぶのは俺の知る限りヒロアキだけだ・・・遠くでその光景を観ながら「あぁこいつ今日死ぬな・・・きっと新聞に載るだろう」心でそう呟いていた・・・。そんな俺達をよそにヒロアキは砂浜に城を作って無邪気に遊んでいる・・・崩れても直し流されても作りほんと楽しそうだ、見ているこちらも微笑ましくなってきたってもんだ。しっしかし僕らは言葉を失い、笑っていた顔も引きつりえと変っていた・・・無邪気に遊ぶヒロアキの背後から迫り繰るそれは津波に近い大波であった・・・最大に膨らんだ化け物がヒロアキを包み込むのはまるでニューヨークテロの映像を見ているかのように呆気無かった・・・ヒロアキは死人のような顔で海から這い出て僕達の近くで倒れた。何やらモゴモゴ言っているので耳を済まして聞くと波に揉まれて首をパワーボムのごとく打ち傷めたらしい・・・
 十日間絶対安静でこの旅は終を告げた・・・蝉のような男だ・・・騒ぐだけ騒ぎそして死んだ。それにしてもあんなに愉しそうなヒロアキを見たのがこの旅行の収穫であった・・・やはり奴も人の子だったのだ。
                             終


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