にっき日和
おしながき前よむ次よむ


2002年05月20日(月) 孔雀サボテン

西の空が暗くなり、

コウモリたちがジグザグ模様に飛び回るころ、

ふと耳を澄ますと、

お庭の隅で 不思議なささやき声が聞こえてきました。



ひそひそ うふふ りんりん・・・・



「一年ぶりだね」

目覚めた”彼女たち”に話し掛けます。


そそ うふふ りんりん・・・・


彼女たちは、孔雀サボテン。

絡むように茂る肉厚の葉は、アロエにも似ています。

葉の先端のつぶつぶが、

やがてコブになり、

そしてつぼみになり、

いままさに、大輪の花を咲かせようとしているのです。

一年間、梅雨走りのこの時期を待ちかねていたのです。


わたしはそっとかがみこみ、

開きかけたつぼみの中を覗き込みました。

お月様の滴を集めたような 白い白い花びら。

おしべとめしべが絡み合って、濃厚なダンスをしています。


「今年も会えたね」

「よかったね」


そそ しし うふふふ・・・・


甘い芳香を撒き散らしながら、

ささやき声は、まだまだ続くの。


そそ かさかさ りんりん・・・・

ひそひそ ひそひそ・・・・・・・・・


明日の朝、

きっと彼女たちは 艶やかな姿を披露してくれることでしょう。

そしてわたしは、真っ先に庭に下りるのです。

誰よりも早く、彼女たちに会いたいから。

誰よりもたくさん、彼女たちを誉めたいから。


ねえ・・・・

だから、今夜の夜露をたっぷり吸ってね。


そして、

また あした 会いましょう。


ぴょん

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