| Spilt Pieces |
| 2002年11月25日(月) 駅 |
| 駅で、うずくまる人がいた。 ホームレスの人が寒さに体を小さくしているようだった。 誰も、何も声をかけない。 それが日常だからだろう。 私も、気になったけれど怖くなってそのまま通過してしまった。 そのことがふと胸を刺した。 私は、もしも自分が駅の隅で倒れるようにしてうずくまっていたとしたら、誰かが声をかけてくれるだろうと思う。 そして同時に思う。 その違いは一体何なのだろう、と。 答えは明白だ。 一瞬見ただけのうずくまる人を助けるかどうかを判断する材料など、見た目以外にないではないか。 もう一度自分に問い直してみる。 もし、自分と近い年齢の女の人が同じ状況だったらどうか。 私はきっと、勇気を振り絞って声をかけたに違いない。 心配だからだ。 そして、自分の醜さを思う。 どうして、今日見かけたあの人には声をかけてあげようと思えなかったのか。 「いつものこと」だから? 通りすがりの私には、真相など分かりはしないのに。 「怖そう」だから? 格好が汚いというだけで、相手の心の美醜まで判断してしまえるはずなどないのに。 「厄介なことに巻き込まれたくない」 そんな、現代の多くの人と同じことを自分も考えているのだから悲しい。 綺麗事ばかり言っていられたならどんなに楽なことか。 私はきっと、次に同じような人を見かけても声をかけることはできないだろうと思う。 それが悲しい。 私は何もできないんじゃない、何もしようとしていないだけ。 ただ、保守的。 自分を守りたいだけのエゴ。 |
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