Spilt Pieces
2002年11月06日(水)  冬
冷え込むようになってきた。
部屋の中にいても手が冷たい。
風邪をこじらせないようにと、母がストーブを持ってこようとしてくれた。
だけど断ってしまった。


私は、寒さに体を小さくするような冬の空気が好きだ。
手も足も冷えて、すぐに体を壊してしまうくせに、それでもこの空気は好きだ。
息を吐く。
白くなって大気を遮る。
手を暖める。
体温が移動していく。


いつもと同じ空。
いつもと同じ日常。
だけどどこか澄んでいるかのよう。


耳と鼻を痛めるような寒さがじきに来るだろう。
それでも、私はきっと喜ぶ。
星がよく見える空間が好きだから。
毎日が、とても神聖なもののように感じられるから。


天井を見上げても何も見えないのと同様に、夏の空には雄大さを感じこそすれ暖かさを感じることができない。
入道雲、長い一日。
暑さに負けた私は気温にとらわれて文句を言うばかりで、空の美しさには目がいかない。
星の空、短い一日。
寒さに負けそうになりながら、それでも思わず空を見上げてしまう。
日々を感じずにはいられない、優しい時間が空に流れているかのようで。
包み込まれている感覚が、私を空の虜にする。
冬の空に、私は夢をみる。


キーンと澄んだ世界が、季節の訪れと共にやってくる。
冬はもうすぐ。
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