(SleepWalking)



手紙
 
拝啓、あなたさま。


眼が見えないまま、世界を感じることに少しずつ慣れてきました
毎日、音楽ばかり聴いています
聴こえなかったものが聴こえるようになるのは、
数をこなしたからでしょうか、それとも、耳が敏感になったからでしょうか


足音が聞こえないのです
あなたの黒い足音
可愛い黒猫だと思っていたけれど、尻尾の先が金色なあなたの
どこへいってしまったの


腕にいだくぬるい塊がなくなってしまって
からだが少しずつ冷えて行くように思います
足先が凍ってやがて、地面に貼りついてしまうでしょうか
それでも耳だけは生きているように思うのだけど


外は吹雪
桜吹雪
谷中の墓地に埋まっているのではないのかしら
かわいい黒猫

2008年10月07日(火)


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