(SleepWalking)
記憶の海
どうしても思い出せない何かを探しに
あなたはそこで死んでいるのだと知りながら
裸足のままで海に出た
腕を突っ込んでかき回す
あなたのなかみを抉り出す
あなたのきおくを抉り出す
私の記憶は欠けている
あの春の雨に消えている
小さな茶髪の頭にひとつ
咲いていたのはアジサイだった
季節はずれのアジサイは
海に埋もれて流された
淡いピンクは寂しい藍へ
それはあなたが死んだから
月が微笑む優しい晩に
冷たい海へと沈んでしまおう
はらはらとちる花びらのように
あなたと一緒に揺られよう
寂しい藍から優しい桃に
あなたにこいをしてるから
2005年03月09日(水)
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