(SleepWalking)



あさ
 
うるさくすずめが鳴くのです
あなたが起きてくれないとわたし
からすに目をつぶされてしまうの、と
泣いているのです


おろかなすずめ


お前の目など


わたしの


知ったことか!


するとすずめはさらに激しく泣き出したのです
ぽろぽろと雨を降らすちいさな目
つぶされなくたって
零れ落ちてしまいそうなほど
おおきななみだ


ああうるさい


お前そんなになけるなら


からすにも泣いてやれば良いじゃないか


お前のその声で


からすの耳を壊してやればいい


するとすずめ
こくりと頷き飛び去った
その夜
わたしの家の大きな木に
からすが一羽引っかかっていたのです
耳を枝に突き刺して


なるほどすずめはその声で


からすを殺したらしい


からすのもっとも大切な部分を


ひといきにぶちこわして


そしてわたしは考えたのです
うるさいすずめは同じように
わたしが羽と嘴を
もぎ取ってしまえばよかったのだ、と
わたしは刃物を取り出した
それは暗い部屋に鋭く光る
明日のあさを切り出すための
高価な道具なのです

2004年06月19日(土)


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