2006年01月02日(月)  板橋上空。
 
大晦日から夜勤で、夜勤明けのお正月はただ眠り続けて、正月らしい正月を送ることができないというか送る気がない僕の1月2日。職場から「主任、至急病院に来て下さい」と、電話が掛かってきて、あぁしくじった。何かわからんけど仕事しくじった。正月からでっかいミスをしちまったんだ俺は僕は。なんという悲惨な年明け。なんという悲痛な迎春。俺が何をしたってんだ。あ、そうか、不義の恋愛をして彼女を振っちまったんだ。あぁ寒い。あぁ怖い。看護におけるミスは時に人の死に直結するからね。正月早々、業務上過失致死で刑務所行きかも。あぁせめておせち食いたかったなぁ。もう5年くらいおせちって食ってないよなぁ。
 
「主任!」
「あ、は、はい」
「明けましておめでとう」
 
看護婦さんがすごい形相をして新年の挨拶をする。気が気でない。早く本題に入って欲しい。「ちょっと待ってて」と言って看護婦さんは消えてしまったので、その間にナースステーションに広げてあるカルテを読んで、どの患者さんに問題が起きたのか目にも止まらぬ速さで調べる。僕の母親の年齢くらいの看護婦さんは、もう一人の看護婦さんを連れて再び戻ってきた。
 
「主任!」
「あ、は、はい」
「明けましておめでとう」
 
いったい何なんだ。何が起きたというんだ。正月休みに呼び出して一体これから何が起きるんだ。しかしあれだね、正月のテレビ番組の東京上空からヘリで撮影って何の意味があるんだ。テレビなんてお笑い芸人が馬鹿騒ぎしてるか、ランニング一丁で大学生が駅伝してるか、朝っぱらから演歌歌ってるかそんなんばっかりじゃないか。世の中の人間全員が正月ムードに浮かれてるから番組も適当でいいやって思ってるかもしらんが、僕みたいに正月気分が皆無の奴が冷静に番組を視聴してるんだとか思っても何にもならない。いったい何なんだ。二人の看護婦さん、ニヤニヤ笑って手には大きな紙袋。
 
「はい。あなたどうせ正月も一人なんだから、おせちなんて食べてないでしょ。正月早々無精ヒゲ生やして。だから私達がおせちを作ってきてあげました。二人でちょっとずつ持ってきたから、これで少しは正月気分を味わいなさい主任なんだから。そういうこともしっかりしないと」
 
涙を流しながら自転車をこいで帰宅。おせちもらったおせちもらった。看護婦さん達におせち作ってもらった。それぞれの家庭のそれぞれのおせちが僕の食卓に並ぶ。素晴らしい。僕にもお正月がやってきた。アハハ。お笑い芸人がコントやってる。アハハ。学生が箱根を全力で走ってる。アハハ。東京上空にヘリが飛んでいる。オーイオーイ僕はここにいるよー。
 

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