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| 2004年12月31日(金) 根拠ない自信。 |
| 大晦日だというのに朝から仕事。今日は管理者日直という何が何だかわからない当番で婦長さんも仕事に来ていた。婦長さんに伝えたくて伝えられないことが一つあったので、今日こそは婦長さんにしっかりと言おうと、強く胸に近い、朝から胸の中で「婦長さん、来月で仕事辞めさせて頂きたいのですが、婦長さん、来月で仕事辞めさせて頂きたいのですが」と、何度もリハーサルしてとうとう僕は婦長さんの前に立った。 「婦長さん、えっと、来月で仕事辞めさせて頂きたいのですが……」 「……! 何よいきなり。どうしたの? 何があったの?」 「いや、ちょっと心当たりがございまして……」 「何? 心当たりって? 意味がわからないんだけど」 「えっと、今日ですね、当選発表でしょ。年末ジャンボの。それ、なんかすげー当たるような気がするんです」 「あそ。それじゃあ来月から仕事に来なくてよろしい」 「あ、ちょっと待って。嘘です。きゃー」 と、馬鹿みたいな会話をしていたのだが、年末ジャンボ。なんかこれすごく当たるような気がしてならないのだ。この僕の嬉しい予感を決して侮ってはならない。というのも、「恋愛歪言」をネオブックオーディションに応募した時も、「なんかこの作品絶対受賞するような気がする。受賞しない訳がない」なんて根拠のない自信のようなものがあり、本当に受賞して、本当に出版されて今思えばなんて恥ずかしい本を出版したのだろうと思うけど、あの時の根拠のない自信のようなものはやけに信憑性をまとい僕の全身を包んでいたのだが、あの時の根拠のない自信が再び年末に蘇ったのだ。 「というわけでお世話になりました。どうかお体には充分気を付けて」 「あら、どうしたの。仕事辞めるの?」 「はい。来月で。今日3億円当選する予定なので」 「あそ。それじゃあせいぜいお元気で」 と、患者さんすら僕の根拠のない自信に付き合ってくれない。畜生。絶対見返してやる。と、午後5時半になるとすぐ白衣を脱ぎ捨て一刻も早く帰宅し、インターネットで当選番号を照会しなければと、自転車にまたがったが外は大雪。道路ツルツル。マンションまであと10メートルというところで転倒。きっとその時に根拠のない自信がどっか転がっていっちゃったんだと思う。 |
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