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| 2004年12月25日(土) 再疑心クリスマス。 |
| 暗い夜道はピカピカのお前の鼻が役に立つのかも知らんが、僕は暗い病棟を懐中電灯片手に巡視しているのであって、今頃街中ではカップルがイヴだの聖夜だの精子だの卵子だので大騒ぎしているのかも知らんが、僕はトナカイの鼻よりも役に立たない電池が切れかけた薄暗い懐中電灯片手に小声で「ホー、ホー、ホー」とサンタのような低い口調で叫びながら患者さんの頭元にそっとティッシュペーパーのケースを置くなどして楽しんでいる。つーか全然楽しくない。 イヴを彼氏と過ごすことのできない遠距離の僕の彼女はというと、「今日高校の頃の部活の同窓会があるから」なんて、思う存分怪しいことを言って外出している。イヴに同窓会ってどういうこっちゃと思ったけれど、遠距離恋愛で相手を疑っては愛は始まらない。つーか終わってしまうので、ここは素直に行ってらっしゃいと声を掛け、素直に言ってしまったはいいものの、内心ドキドキで、なんなんだイヴに同窓会ってなんなんだと内心乱れ放題乱れていると、「あ、そういえばその同窓会、もしかしたら元彼が来るかもしれない」なんて尋常の口調で言う彼女。 これは一体どういう種類の宣言なんだ。まずイヴに同窓会。これ怪しい。つーかおかしい。更に同窓会に彼氏。これも怪しい。つーかかなりおかしい。この文章を繋げると、イヴに同窓会で元彼と会う。そしてそれを現在の彼氏に報告する。なんなんだこれは。僕はどう対処すればいいんだ。どういう種類のイタズラなんだ。嫌がらせなんだ。こっちは真面目に夜勤してんのにさ。と、平常心を失った僕は患者に刺すはずの注射を我が腕に刺す、患者に添えるはずの紙オムツを自分の下半身に装着させるなど混乱を極め、今頃絶対センチメンタルでロマンチックでクリスマチックな気分になってる。手とか繋いでるかも知らん。もしかしたら双方の身体自体が繋がってるかも知らん。やだな。すごいやだな。なんて悶々とした気分に陥っていたら、「今から帰る」というメールが届く。 ここはヤッタと喜びたいが、手放しで喜べない事情は、既に彼女は元彼と手を繋ぐ、もしくは口と口を繋ぐ、ややもすれば身体を繋げるという行為を終えているかもしれず、一夜限りのサンタと別れ現実に戻った彼女は、ドラクエと夜勤しかしないつまらない彼氏に、ショーガネーナーメールデモスッカくらいの心意気で送信したのかも知らん。ちょー悲しい。ちょー侘しい。今年のクリスマスはチキンライスでいいや。なんて自暴自棄になって、とりあえず彼女のことは忘れて仕事に没頭しよう。と、電池が切れかけた懐中電灯を左右に振りながら、きよしこの夜を歌おうと思って口ずさんだ歌は、なぜか蛍の光だった。 |
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