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| 2004年12月23日(木) くさやくった。 |
| 僕達は上野の居酒屋なのか屋台なのかわからない所、店内にカウンターはあるが、そのカウンターの延長線上は屋外に繋がっており、カウンターの他にも折りたたみ式の長机が二、三点在している場所に身を震わせて座っている。 ここが青山とか代官山であれば、オープンカッフェーなんて洒落たことが言えるが、ここは上野で、店も繁華街の筋を入っていった賑やかなのか陰気なのか、楽しいのか怖いのかわからないような所に存在しており、オープンカッフェーで屋外に設置されたテーブルに座り、エスプレッソなんて飲むと、オレってオシャレ。オレって今風。オレってすごくグルーヴィーなんて思うのかも知れんが、僕達が座ったオープン居酒屋、もしくは店舗付き屋台は、むやみにオープンなだけで、ただただ寒く、「ショ、ショウチュウヲ、オユワリデ」なんて全然お洒落じゃないことを言ってどうにかして暖を取りたい。一緒に行った女性も、「ワタシ、ショウチュウナンテ、ノンダコトナイ、ナイケレド、ワタシモ、オユワリデ」なんて、身を震わせるうら若き女性に焼酎を飲ませるあたり、僕ももう終わってると思った。 しかし終わっている理由はそれだけではなく、屋外で飲んでいるのだから、僕達の背後は普通に通行人が歩いている。そしてその通行人が僕達の背後を通る度に、顔をしかめる、鼻をつまむ、すこし離れる、何の配慮もない者になると、「臭っ!」と大声を挙げるなどして、まるで僕達に対してくさやを見る、もしくは嗅ぐような扱いをする。なぜか。それは僕達がくさやなのではなく、現にくさやを食っているからであって、これが本当に臭い。僕もそうだが、一緒に座っている女性もくさやが初めてらしく、まるでくさやでも噛むような表情でって、現にくさやを噛む表情でくさやを一口噛んで、「あーっ!」と何かひらめいた、もしくは発見した時に発するような声を発したが、それは単に悲鳴であって、悲しいことに彼女はそれから「あーっ、臭っ。あーっ、臭っ」としか言わなくなった。 僕の彼女は、僕が彼女ではない女性と飲みに行くという報告を受けたとき、少し残念そうな感じであったが、隣の女性が「あーっ」とか「臭っ」としか言わなくなったので僕も少し悲しくなった。そして彼女はたまらず悪臭放つくさやが入った茶碗を、隣のテーブルで飲んでいる青年2人、中年1人、若い女性1人、計4名のグループに、「これ食べて下さい」と言って渡し、言葉自体は善意が篭っているが、内心は一刻でも早くワタシのテーブルからくさやを遠ざけたいという口調になっており、男は馬鹿であるから、彼女のようにコザッパリとしたオシャレでキレイなOLに、「これ食べて下さい」なんて言われたら、言われなくても食べますよ。最初から狙ってましたよみたいな感じで鼻を伸ばして受け取るのであるが、そのグループには若い女性が1人座っており、さすが女性。同性の色気に屈することなく、「臭っ!」と言い放つ。それを聞いた他の男連中も、ただただ嬉しそうにくさや茶碗を受け取り鼻を伸ばしていたのだが、その声に我に返り、「臭っ!」と同時に身を後ろに反らした。 馬鹿だなァ。男って馬鹿だよなァ。と、その一部始終を眺めていた僕は、早く彼女が「臭い」意外のことを話してくれないかしらなんて思いながら焼酎を飲んでいたが、彼女は隣のテーブルの男連中に「松嶋ナナコに似てますネ!」なんて言われて、チョーご機嫌になって、ナイス隣の男! なんて心の中で叫んでいたが、くさやをもらってあまりの臭さに身をよじらせても尚且つ、松嶋ナナコに似ていると、この場では諸悪の根源ともいえる存在に、そのようなことを言える男は、かなり馬鹿だと思ったが、くさやを与えて尚且つ、松嶋ナナコに似ている彼女は、明らかにスゴイと思った。 |
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