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| 2004年10月22日(金) 破壊と再生。 |
最近彼女に電話すると、受話器を取った瞬間に切られたり、さっきは呼出音が鳴っていたのに、次掛けると電波の届かない場所にいると言われたり、電源が入っていないので掛かりませんなど、融通の利かなさそうなオバサンの声のメッセージが流れて、むむむ。 とうとう彼女は僕に愛想を尽かしたんだ。彼女が僕の部屋にやってくる時くらい部屋の掃除しとけばよかった。彼女より先に寝息を立てるんじゃなかった。彼女がヒールで歩きにくそうなのに、その先をさっさと歩いて、更に「遅ぇよ! たったか歩けよ!」なんて罵倒しなければよかった。しかもたったか歩けなんて。たったかなんて。何だたったかって。と、悔恨の念に支配され、彼女と過ごした楽しかった思い出が走馬灯のように蘇る。ゴメンなさい。もう少し、優しく接してやればよかった。ゴメンなさい。 と、そんなことはなく、単に彼女の携帯が壊れているからであって、はよ修理するなり新品を購入するなり何らかの手段を取ればいいものの、「もうちょっと待って。来月まで待って。ポイントが、ポイントが」などと、そのポイントとやらが彼女にどのような影響を及ぼすか何もわからないけれど、彼女にいくら改善を求めたって、「来月まで」と「ポイント」この二つの言葉を繰り返すばかりで全く埒が開かない。 もういいよと怒って、彼女が最近「リヴリー」というインターネット上のペットを飼い始めて、そのペットがブタに羽根が生えたような奇妙な生き物なので、「ブータ、ブータ」と馬鹿にすると、彼女は自分自身に「ブータ」と言われたと思い込み、烈火の如く怒り出し、さっきまで「来月まで」と「ポイント」の二つの言葉しか使えない不憫な女性だったのに、今度は、「出るとこに出るよ」など意味不明なことを喚き始め、出るとことは何処のことだろう。と首を傾げていたら、本日、家庭裁判所から呼出状が届いた。 訴状には「名誉毀損」と記してある。僕はあのインターネットペットにブタと言ったのであって、彼女には決してブタとは言ってない。しかも彼女はどの角度から見てもブタではない。ちゃんとキレイな腰のくびれだってある。僕はそのくびれが好きで、一緒にベッドに入ってる時、彼女のくびれにかぶりつくんだけど、くすぐったいのか単に不快なのか、彼女はその僕にとっては愛の行為を極端に嫌悪しており、もしかしたらこれがいけなかったのかもしれない。くびれにかぶりつくなんて何の意味もない行動を繰り返していたことがもしかしたら悪かったのかもしれない。反省すべきだと思う。謝罪すべきだと思う。 と、彼女に謝罪の意を伝えようとするけれど、糞電話は相変わらず「電波が云々、電源が云々」などと同じ言葉を繰り返すばかりで、とうとう彼女との連絡手段が途絶えてしまったと、部屋の真ん中で四つん這いになり肩を落としていたら、ドアのポストに何かが投函された音がして、一体何ぞと、ポストを覗くと、毎週必ず届く、彼女からの手書きの手紙が届いていた。嬉しかった。他の言葉で言い表すことができないけど、ただただ、嬉しかった。僕は彼女を愛している。彼女も僕を愛しているし、細いくびれも持っている。でも携帯は故障していてペットはブタである。 |
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