2004年09月22日(水)  退屈な休日と七福神。
 
休みの日はほんと何もやることがなくて、それでも1日家に閉じこもってましたみたいな休日の過ごし方だけはしたくないと思い、取り敢えず歯を磨いて顔を洗って小説持って近所のドトールコーヒーに行ったりするんだけど、コーヒー飲んで小説読んでいるのでは部屋で過ごすことと大して変わらない。でも、今日のように突拍子のない出来事に遭遇したりすると、あぁ、取り敢えず退屈ではない休日だったと思ったりするのです。
 
と、ドトールコーヒー。僕の隣に座っているオバサン。なぜか子供1人入るくらいの大きなリュックを背負っている。お世辞にも綺麗な格好とはいえない。コーヒーの量が少なくなると店員に「水ちょうだい」と言って、その水をコーヒーに注ぎ足している。
 
東京は変わり者に寛容な街で、こんな特異な行動をしている人を見ても誰も驚かない。僕は驚くんだけど周りは驚いていない様子なので僕も驚かない振りをする。平静を装って小説を読む。
 
「ねぇ」
 
平静を装っている。
 
「ねぇ」
 
全然驚いていない。
 
「ねぇ」
「な、なんですか」
「これ、わかる? 全部言える?」
 
隣のオバサンが話し掛けてくる。そんな気がしてたのだ。僕がその席に座った時から、明らかに僕の方を何度もチラチラと見ていた。チラチラではなくあからさまに見ていた。何かが起きることはわかっていた。わかっていたけれども。
 
「これ、言ってみな」
 
オバサンは僕に七福神のイラストが描かれたテレホンカードを差し出した。初対面の相手に七福神の名前を言ってみろと訊ねている。文章にするといまいち理解できないシチュエーションだが、実際そうなのだから仕方ない。
 
「これが大黒天で、これはたぶん恵比寿神、毘沙門天だったかな」
 
よせばいいのに、あまりにも休日が退屈なので突拍子もない質問を真面目に答えようとする僕は馬鹿なのかもしれないが、あとの四人の神様の名前がどうしても思い浮かばず断念。すいませんあと知らないですと謝って小説の続きを読み始めた。
 
「ちょっと、これで電話してくるからこれ見ててね」
 
と、オバサンは七福神のテレホンカードを持って外へ消えた。これ見ててねと言った先には飲みかけのコーヒーと、なぜかタウンページが置いてあった。ほんとに文章にすると意味がわからないが、実際そうなのだから仕方ない。
 
そして僕は待った。そしてオバサンはいつまで経っても帰ってこなかった。僕の休日が一層意味のないものになった。
 

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