2004年08月15日(日)  矛盾した決定権。
 
「新しい灰皿が欲しいんだけど」と、東急ハンズにて。「ダメ! 買ったら別れるからね」と、大の嫌煙家の彼女。しかし彼女と別れた理由が「灰皿を買ったから」なんて馬鹿な話はあるはずがないので、彼女の脅迫は軽くスルー。
 
適当に灰皿を手に取ってこれにしよっと決めると、「絶対買っちゃダメー!」と、東急ハンズ中に響かんばかりの絶叫。さすがに絶叫されながらも無理矢理買おうとは思わないので、ヘンなの。と頭を傾げ、他の買い物の続きを始める。
 
買い物終わってレストラン。「へへへー」と先ほどから妙な笑いばかり浮かべている彼女にどうしたのか、具合でも悪いのか、脳の血管が詰まる前兆ではないかしら、と訊ねたら、それでもなお「へへへー」と目尻に皺を浮かべ気色が悪い。其処に病院があったので帰りに寄ってみようかと彼女の空笑を眺めながら考えていたところ、「はい、あげる」
 
小さな紙袋。開けてみていい? と訊ね、開けなければ駄目です。と、彼女が言う「駄目」という言葉は、この恋愛に於いてどれだけ決定権を持っているのか。煙草吸っちゃ駄目。はいわかりました。灰皿買っちゃ駄目。了解しました。部屋を掃除しなきゃ駄目。承知しました。紙袋開けなきゃ駄目。御意。
 
そこには小さな灰皿が入っていた。
 
「私が駄目って言った理由、わかったでしょ」と、先ほどの気色悪い笑みは照れ笑いに変わっている。「ありがとう。キミが東急ハンズで灰皿の購入を阻止したのはこういう理由があったのだね。大切に使うよ。1本1本心を込めて喫煙するよ」
 
「煙草吸っちゃダメ!」
 
これからも彼女の矛盾した決定権に、僕は惑わされ続ける。
 

-->
翌日 / 目次 / 先日