2004年07月13日(火)  トロイ店員。
 
特に理由もなく、携帯を買い替えようと思い、特に理由もなく、駅前の激安ケータイショップに入ったのがそもそもの間違い。なんというか、激安とうたったり、店内がドコモやらエーユーやらボーダフォンやらごった返しになって何がなんだかわからなくなっているような種類の店というものは店員が馬鹿と相場が決まっている。
 
茶髪の男。「っしゃいませ!」威勢だけはいい。脳味噌の中で「客が入ってきた→快く迎えなければいけない→そのためにはいらっしゃいませという感謝の言葉は不可欠である→だからいらっしゃいませと言う」というプロセスを踏まず、ただとりあえずと言った感じで、言って損はないという感じで「っしゃいませ!」
 
「新規ですか? 機種変ですかぁ?」
 
もうこの時点で僕はまっすぐだった機嫌が少し斜めになる。なんと座ったまま僕に喋りかけているのだ。なんたる無礼者。客に対して座ったまま横柄な応対が許されるのは質屋の親父くらいである。こんな茶髪の青二才が客に座ったまま応対するなど、しかもネクタイは締めているが、シャツはズボンの外に出すというだらしない格好で。よって新規が機種変か、その店にとって重要な項目である質問に対しても無視。茶髪の店員が頭の中で思っている言葉を拝借するとシカト。
 
「この機種が欲しいんですけど」
 
すでに買う気が失せた僕は、無作為に抽出した機種を手に取り店員の顔を見ずに話し掛ける。依然座ったままの店員、「新規ですか? 機種変ですかぁ?」と再び訊ねてくる。そして僕無視。茶髪の言葉を拝借するとシカト。この客は新規か機種変か、こっちにとって今後のセールストークを発展するにあたっての重要なファクターをなぜか教えてくれない不気味な客という先入観を植え込ませる。この後たいした予定が入っていない僕はすでにこの茶髪の店員イジメに入っているのだ。
 
「うーん。やっぱりこれにしようかな」
「それ! それっすか! それ! それちなみに僕も使ってます!」
 
無視。いちいち僕の感情を逆上げする男である。「ちなみに僕も使っている」この言葉に何の効果、どのような説得力があるというのだ。「僕が使ってるから間違いない」もしくは「センスいい」などと思っているのだろうか。気分が屈託。店内には浜崎あゆみが流れていて更に屈託。
 
「ちなみに、そちらにする場合、新規ですか? 機種変ですかぁ?」
 
どうしても聞きたいらしい。でも答えたくない。だって新規でも機種変でもなくて、ただキミをいじめたいだけなんだもの。よって「は?」と聞こえない振り。
 
「は?」
「だから新規か……」
「え? 何? それにしても座ったままでさっきから」
「あ、あ、すいません」
 
と、直球でいじめてみたり、
 
「えっと、機種変なんだけど」
「それでしたら今の携帯のご利用期間はどのくらいですか?」
 
無視。と、理不尽にいじめてみたり。と、この僕が変に機嫌が悪い理由は、この携帯ショップに寄る前に映画を見に行って「ブラザーフット」が見たかったんだけど上映始まっててしょうがなく「トロイ」を見てしまって、この「トロイ」という映画、どうしようもなくつまらない金ばかりかけているハリウッド映画で、つまらない映画を見た後特有の、映画館を出て1時間経ったら物語の内容をあまり思い出せないという種類の映画で、その映画を見た後にこんな馬鹿店員がいる携帯ショップに寄ったものだから茶髪の馬鹿店員にはあまり罪はないのだけど、なんていうか、こう、ジョーカーばかり引いてしまう1日のような感じがして、気分が屈託。
 

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