2004年06月29日(火)  マリオ・アンド・ルイージ。
 
どうしても思い出せない。二人して困っている。
 
先日、友人と電話で会話している折、
 
「ほら、アレなんだよね、アレ」
「うん。アレでしょ。なんていうんだっけ」
「アレだよ。ほら、キャッチアンドリリース?」
「違うよー。似たような感じだけど違う」
「じゃあアレだ。ケースバイケース?」
「あー。ちょっと離れた気がする」
「ミッションインポッシブル?」
「なんかバカになってきた」
 
思い出せない。僕たちは会話の中で、モノを与えて、その恩恵がいずれ自分に返ってくるという内容のことを話していた。それを英語で、ナントカと言うんだけど、キャッチ・アンド・リリースみたく、ケース・バイ・ケースみたく。それが思い出せない。
 
「じゃあアレだ。キャッチアンドリリース?」
「それさっき言ったじゃない。もー。私答えが出かかっていたのに忘れちゃったじゃない」
「どのあたりまで?」
「えっと、みぞおち?」
「微妙に遠いね。じゃあいいよ。キャッチアンドリリースにしようよ」
「私はアナタみたいに妥協ばかりする人生は送りたくないのよ」
「人生を持ちださないでくれよ」
「じゃあもっと真剣に考えてよ」
「キミと僕のこと?」
「バカ。キャッチアンドリリースじゃない言葉のことよ」
「ミッションインポッシブル?」
「もう嫌い」
 
と、僕だって考えているのだけど、どう頭を捻っても出てこないので、多分、言葉の神様が、この言葉は不適切だというような理由で、世の人々の記憶からこの言葉を取ってしまったのかもしれない。僕たちは今、神によって失われた言葉を再び手中に収めようとしている。
 
「キャッチアンドポッシブル?」
「もうホントにアナタのこと嫌い」
「ゴメン。僕も苦しんでるんだ。こういう時はおどけて見せるしかないんだ」
「また道化? もうそういう言葉使うのやめてよ。太宰治?」
「その、なんていうんだろ。お互い様っていうような意味なんだよね」
「でもさ、こうやって文章書いてる人って答えがわかってて、その答えに向かって文章書くわけでしょ」
「そうだね。起承転結ってやつね」
「で、アナタは現に私達の会話をこうやって日記に書いてるわけだけど、答え知ってるの?」
「いや、本当にわからない」
「じゃあ駄目じゃん」
「どうして? 僕が駄目ならキミが考えればいいじゃないか」
「だから、私の会話はアナタが書いた文章でしょ」
「そっか」
「そうよ」
 
休憩。
 
「マルイ・イン・ザ・ルーム?」
「そうよ! それよ!」
「そうか?」
「キミが居て私帰る」
「ばいばい」
「さよなら」
「ご飯どうする?」
「たまには私が作ろっか」
「おぉ。ありがとう」
「それじゃあ買い物行ってくるから後でお金ちょうだい」
「あなたがお金出して私が作る」
「ギブアンドテイクってやつね」
「あ」
「あ」
 

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