2004年05月26日(水)  当店です。
 
僕は昔から寿司が大好きで、どのくらい好きかというと、彼女に「私のことどのくらい好き?」と訊ねられて、まぁ好きなことは好きなんだけど、具体的にどのくらい好きなのか推量することが難しいというくらい好きなのであって、仕事帰り、池袋などに赴き、回転寿司を一人で食べたり一人で食べたり。往々にして一人で食べるのだが、僕の困った性格の所以は、この回転寿司にあり、例えば「寿司食いたい!」という衝動。
 
仕事中に突然沸き出る衝動。絶対仕事帰り寿司食って帰る。絶対食う。たらふく食う。と、僕の中に新たな使命が生まれ、その使命をまっとうするために仕事を頑張り、「寿司寿司寿司……」と念じ続け、遂に仕事が終わり、颯爽と白衣を脱ぎ、池袋へ直行。あぁ、酢飯の匂い、新鮮なネタの匂いがする。まーずーはー中トロから!
 
と、中トロ一口。これで僕の使命は終わりました。寿司を食いたいという衝動は消散しました。あれと似てるね。彼女欲しい欲しいと強く念じ続けているときに限って、彼女ができると、あぁ、彼女ができてしまった。とやけに醒めてしまう心境。あぁ、もういらね。もう食いたくない。帰りたい。しかし何だねあの張り紙は。
 
「当店は厳選された新鮮な素材を使用しております」
 
と、何だねこの張り紙は。よーく考えよー。厳選されたネタとは何ぞや。厳選とは何ぞや。厳選を省いて「当店は新鮮な素材を使用しております」でもいいじゃないか。第一、厳選とは何ぞや。厳しく選ぶとはいかなることか。そもそも素材なんてものは厳しく選んで当然ではないのか。好い加減な選び方をしてはいけない。こんなの言ったもん勝ちじゃないか。
 
発想の展開。構築。厳選って言葉はもう、なんだかあれだから、その後の言葉、「新鮮な素材」について考察してみましょ。新鮮とは何ぞや。新鮮という概念についてガイドラインでも存在するというのか。漁業組合とか回転寿司協会とか厚生労働省とかにね。それはないだろう。じゃあ何? 何この言葉。何のためにこんなこと書いてんの? いらなーい。こんな上っ面だけの言葉なんて必要なーい。「厳選」も「新鮮な素材」もいらない。愛の告白の如く、「好きです」と、想いを伝えるのは単刀直入に。
 
「当店です」
 
いいね。いらぬ言葉を省いた張り紙。「当店です」これで全てが理解できる。回る舞台で甘エビが踊っている。
 

-->
翌日 / 目次 / 先日