2004年05月23日(日)  チョーファンシー。
 
このような仕事をしていると、救急車に添乗することもこれあるわけで、今日も急変した患者さんを乗せてピーポーピーポー隣町の救急病院まで。雨が降っている。
 
救急病院に到着し、患者さんの様態を看護婦に申し送り、さぁ帰ろう。外は雨。救急車に乗って帰ろう。というのも、救急車は、うちの病院の前を通って帰るので、いつも「乗っていきますか」と優しい声掛けでもって送ってもらえるのだ。
 
僕もこの通り白衣を着ているわけで、往来を白衣のまま歩いて帰るわけにもいかず、かといって帰りはタクシーで帰ってきてもいいのよと婦長さんは言うけれど、このタクシー代は患者さんの入院費から差し引かれるわけで少し気が引ける。というわけで送って下さい。よろしくお願いします。ってもういない。救急車帰っちゃってる。
 
忙しいのかしらー。次の予約でもあるのかしらー。と救急病院のロビーで立ちすくむ。外は雨が降っている。時計を見ると午後4時。どうしよう。4時半から申し送りが始まる。よって4時20分には病院に帰って、中断した記録の続きを書かなければならない。どないしよ。雨が降っている。タクシーは気が引ける。走ると15分くらいで帰れるかしら。
 
と、見ず知らずの看護婦。
 
「これから帰るのですか」
「えぇ。走って帰ろうかなと思って」
「まぁ。傘はお持ちですか」
「いえ、急いでたものですから」
「それでは少しお待ち下さい」
 
と、看護婦。受け付けの裏の方に消え、2分ほど待ち、笑顔で戻ってくる。左手に傘を、右手に夢と希望を持って。
 
「ありがとうございます。仕事帰りに返しにきますので」
「いやいや、いいのですよ。これは忘れ物置き場に何ヶ月も置いてあるものですから」
「それではお言葉に甘えて」
 
浦島太郎に助けられた亀のように深い感謝の意を表して、大雨によって海のようになっている外へ飛びだす。同時に傘を広げる。傘には、お花畑に兎が踊っているプリントが施されている。チョ、チョーファンシー! チョー恥ズカシー! 白衣でファンシーな傘を広げながら往来を走り抜ける看護師。チョーファンシー。
 

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