2004年04月19日(月)  妹が母になる瞬間。
 
妹夫婦の家族は、旦那、妹、2ヶ月の子供。そして猫1匹、仔猫3匹という実に賑やかな家庭で、昨夜はその家庭に、母、僕、下の妹、その彼氏が集まり総勢6名と4匹。6人分じゃ足りないでしょ。じゃあ7人。いや、それでも少ないっすよ。じゃあ8人か。いやここは思い切って9人分頼みましょ。と武田信玄のような体格の下の妹の彼氏。じゃあそうしようと従順且つ温厚な上の妹の旦那。やっぱピザがいいね。と今更ながら出前変更を申し立てる僕。
 
寿司を食べながら喫煙室。赤ん坊に煙草はよくないということで、妹の家の4畳半の部屋が喫煙室になっており、男3人はそこで肩を寄せ合い煙草を戯む。向こうの部屋では赤ん坊の泣く声。乳を与える妹。鹿児島に帰ってきて何にびっくりしたかというと、妹が子供に乳を与えてることで、妹が、子供に、乳を、与えている。母親に、なっている。妹なのに母になっている。兄なのに東京で遊んで暮らしている。
 
ちょっと散歩に行ってきますと立ち上がり、未だ泣きやまぬ赤ん坊を抱き、二人で夜の散歩。子守唄でも歌おうと思ったけど、これまでの人生で子守唄が必要な状況なんてなかったので、なかなか思い出せない。よって現在の僕の中で一番子守唄に近い歌、平原綾香の「jupiter」を歌いながら、お、子守唄っぽいねと自画自賛。やがて心地よい寝息を立て始めた赤ん坊を優しく抱きながら部屋へ戻り、ベッドに寝かせた途端泣き出したので妹に「jupiter歌うと泣きやむよ」と助言したが「馬鹿じゃないの」と一蹴。悲しい気分になったので男2人がゴロゴロしている喫煙室へ。
 
しかし喫煙室は男ゴロゴロの他に猫ゴロゴロ。どっちが猫かわからなくなっている。どっちが猫なのかわかんないね。と猫に話し掛けると、下の妹の彼氏が立ち上がり、お疲れ様っすと体育会系の勢いでビールと寿司の残りを持ってきてくれたので、へへ、じゃあ飲みなおそうかと、男3人で乾杯。出産と帰郷に乾杯。気持ち良く1口目を飲んでいる間に寿司を猫に食われる。こら、馬鹿、馬鹿猫。かわいい。と動物好き、子供好き、野球好き、格闘技好きの男3人はその後、共通の話題に花を咲かせ、夜も更けてきた頃、再び赤ん坊が泣き出したので、ちょいと寝室を覗いてみると、妹がこちらに背を向けて乳を与えていた。
 
寝室のスタンドライトに優しく照らされた妹の背中は、もう僕の知っている生真面目で机に向かい勉強ばかりしている妹の背中ではなかった。なんだかとても心強い背中だった。これが母親の背中なんだと思った。「頑張れよ」と声を掛けようかと思ったけど、この場に適した言葉なのかわかりかねたので、「おやすみ」と言ってそっと寝室のドアを閉めた。3匹の仔猫が僕の足元に身体を擦り寄せてきた。
 

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