2004年04月17日(土)  赤いスーツケース。
 
明日鹿児島に経つというのに、今夜は夜勤でこうやってオムツ替えながら腰を痛めつつ、深夜2時に眠れない患者さんと写メを撮って遊んだりして、仕事って楽しいなぁ。看護っていいよなぁ。とニヤニヤしていても、明日の午前11時には羽田空港に到着しなければならず、夜勤は朝の9時まで。1度家に帰ったら間に合わない。じゃあどうすればいいかと考えたとき、そうだ仕事終わったらそのまま空港行けばいいじゃん。風呂入らずに。ヒゲ剃らずに。
 
というわけでスーツケースを引きながら仕事に向かったところ、職場にスーツケースで行くということがひどく不自然で、しかも僕のスーツケースは真っ赤で光沢を帯びており、太陽が当たるとひどく輝く。それがまた恥ずかしさを倍増させる。しかしなぜ真っ赤なスーツケースかというと、単に赤が格好良いと思う思春期的発想で、池袋の雑貨屋で1度それを目にしたんだけど、その時は両手が荷物で埋まっていて、スーツケースなんて買うお金もなかった。
 
スーツケースなんてそんな滅多に売れるもんじゃないよなぁ。と甘い考えを元に、甘い見通しの末、1週間後その店に行ってみると当然赤いスーツケースは売り切れている。売り切れているのなら、他のスーツケースを買えばいいものの、売り切れているからこそ、急にあの赤いスーツケースが惜しくてたまらなくなる。自らの意思でいなくなった彼女こそ戻ってきてほしくなる。
 
「あの、1週間くらい前ここに赤いスーツケースがあったんですけど」
「あぁ、赤いスーツケース」
「あれ再入荷とかできないんですか」
「あぁ、再入荷」
「できなかったらメーカーだけでも教えて欲しいんですけど」
「あぁ、メーカー」
 
と、この店員、麻薬でもたしなんでいるのか、うつろな瞳で僕の言うことをオウム返しに応えるばかり。しょうがないので、レジの前に並んであったライターを購入しようと思い、その店員に差し出すと「ご自分用ですか」と言うので、今日はうっかりライターを家に置いたまま出掛けてきたので、「はい」と答えると、「ラッピングはなさいますか」と平然と申すので吃驚。自分自信にプレゼントですか。それもいいね。と、なんか妙な鼻唄を鳴らしている店員に「はい」と答えて、たった200円のライターを丁寧にラッピングしてもらって、馬鹿じゃないかしらと頭を傾げながら店を出て、あ、そうだ。赤いスーツケース。と思い、それからいろいろあって、こうやって手元に赤いスーツが手に入って、鹿児島へ経つ前日に夜勤なんてしているのであります。
 

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