2003年09月11日(木)  セールステクニック。
仕事で疲れて帰りの電車で必ず寝てしまう。今日も今日とて寝てしまい、特急に乗ったつもりでふじみ野駅で目覚めてしまい、ヤベェ準急に乗り換えなきゃと思って電車外に出たら最初から準急に乗っていてこのまま間違えましたという顔して元の車両に戻るのは恥ずかしいので、3両くらい隔てた車両に乗ってまた眠った。東上線を利用している人しかわからない話でごめんなさい。
 
電車降りてうちに向かってトボトボ歩いていたら後ろから声を掛けられた。
 
「あー、もしかして1課の人じゃないですかぁ?」
「お、そうだけど」
「一緒の駅だったんだー。またどうしてこんな辺鄙なとこに」
「ははっお互い様だよ」
「家賃幾らっすか?」
「3万8千円」
「安っ! いつ自殺があったんですか?」
「物騒な断定をするなよ」
「うち6万3千っすよ」
「高っ! どこのお坊っちゃんだよ」
「妙な先入観持たないで下さいよ」
 
と、同じ営業課の人間とたまたま駅で会って、たまたま帰る方向が一緒だったので「じゃあ一緒に帰りましょう」ということになって、僕は東武ストアに寄って夕食の買い物をしたかったけれど、一緒に帰ろうって言ってるから仕方なく一緒に帰って、歩いている間はずっと今夜の夕食何しようってことばかり考えていた。
 
「あー。オレの名前知ってますか?」
「いや、知らない。元2課でしょ」
「そうっす。元7課ですよね」
「そうだよ」
「で、今はエリート集団の1課」
「僕はエリートじゃないけどね。ただの契約社員」
「オレだって一緒っすよ。エリートじゃない」
「だけど家賃は6万3千円」
「狭いんすけどね。しかし3万8千円は安いなぁ。首吊りっすかねぇ?」
「とりあえず自殺から離れようよ」
「僕はアナタの名前は知らない。だけど顔は知っています」
「何、いきなり」
「YES-BUT法です」
「なるほどー!」
「プライベートでも営業手法を使ってます」
「すごいな」
「でしょー」
 
『YES-BUT法』営業の基本的なセールステクニック。まずは肯定してそれから否定する。「そうですよねー。しかし〜ですよ」という具合に会話を進めていく。僕が営業だなんて畑違いの職場を経験しているのは、今後、臨床現場に戻ってまたカウセリングをすることになった時、多少なりとも得られる知識があるのではないかと思ったから。実際、今の職場で様々な会話の技法を学んでいる。
 
ブーメラン法、置き換え法、聞き流し法、応酬話法など、臨床現場ですぐ使えそうな知識をこの職場で学んだ。この応酬話法。僕はずっと欧州話法だと思っていて、欧州の外人の会話の形の真似をしているのだとずっと思っていた。
 
「ここに来る前何やってたんスか?」
「看護師」
「へぇー。何科?」
「精神科」
「どおりでー」
 
ここで決して驚かず、否定せずに肯定することも、一流の営業マンならではだと思った。


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