2003年08月05日(火)  性的暴行罪。
彼女でもいなければセックスなんて縁遠い話で、数ヶ月に一回そういうチャンスに恵まれたとしても所詮一夜限りの恋。否、性。相手の身体を暗中模索している間に朝陽が昇る。「また会おうね」「そのうちね」と哀しき大人の物語。吉野家の焼魚定食を食って帰宅。女は駅前のエクセルシオールカフェでエスプレッソを飲みながら何を考える。昨夜のことを考えるだろうか。僕はやっぱり牛鮭定食にすればよかったと考える。九十円ケチった自分を後悔する。
 
「いや、やめて」
 
僕は署に連行された。イリノイ州最大の都市シカゴ。僕は留学して3年経つ彼女へ出逢う為に、彼女を探す為に現在も世界一忙しいといわれているオヘア国際空港に降りた。そしてその日の夜に僕は警察に連行されてしまった。
 
「やめて、いや、いやよ」
 
初めて見るミシシッピ川は僕の予想以上に大きく、その大河が見渡せる高層マンションで、彼女は小さく呟いた。
 
勤勉を美徳とし、家庭を大切にする古き良きアメリカが未だに生きてる。一見保守的に感じるが、シカゴなどの大都市は新しい人間を受け入れるところもあり、エスニックコミュニティの数は非常に多くなっている。彼女はこの3年間、何を考え、何を見ながら生きてきたのだろうか。
 
「い……や……」
 
彼女は僕の耳元で熱い吐息を吐く。テレビではNHKの深夜に流れているようなコメディが流れている。英語が全く聞き取れない。ドリフのような笑い声だけが僕の耳に忠実に届く。
 
映画に出てくるような警官だった。POLICEと刻まれたバッジが僕を恐縮させる。何を話し掛けているのかわからない。彼は袖をまくり毛深い腕を露出させて僕を威嚇する。
 
「米国イリノイ州では、今後男女の合意下で性交渉をしたとしても、相手が要求したら直ちに中断しなければ性的暴行罪で処罰を受けることになる。イリノイ州は28日、性行為中、人の心が変わりうるとし、このような内容の新しい州法を紹介した」
 
えーーーーーーー。

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