2003年07月09日(水)  戦慄のバナナボーイ。
僕は労働を甘く見てました。今日は、地獄を見てきました。
 
派遣のバイトでとある工場へ。徹底した衛生管理の中、宇宙服のような格好をして工場内に入る。1日8千円かぁ。TシャツとCD買おうかしらー。なんてそもそも動機が不純だからいけない。生きる為に働くという前提の元、人は労働しなければいけない。こんな茶パツで愛想悪くて足が短いからいけない僕は。
 
とあるコンビニで販売されるバナナオムレット。この製造過程に参加することになりました。食品を扱う仕事は初めてなので何をすればいいのかわからない。
 
「じゃあ兄ちゃんバナナ乗っけて」
「はぁい」
 
とベルトコンベアーで運ばれてくるカスタードクリームが塗られた薄いスポンジケーキの上にバナナを乗せる。アルミ製のでっかいボールの中に山盛りにされた縦に8分の1に切断されたバナナを乗せる。
 
ベルトコンベアーに3個ずつスポンジケーキが運ばれてきてバナナを乗せる。バナナを乗せる。バナナを乗せる。2時間経過。僕はまだバナナを乗せている。3時間経過。既に慣れた手つきでやはりバナナを乗せている。
 
「すいません。これいくつくらい作るんですか?」
「そうねぇ。今日は8千個くらいかしら」
「……今どのくらい作ったんですか?」
「2千個くらいじゃないの」
 
絶句。足と腰が痛い。痛いというものではない。激痛を通り過ぎたある種の感覚鈍磨さえ引き起こされる種の痛み。バナナ8千個。1日1万円。うーん。8時間。痛い。本当に痛い。生まれて初めて何かから逃げたしたいという衝動に駆られる。だけど僕はご覧の通り変な宇宙服着てるし、僕が持ち場を離れるとバナナの入っていないバナナオムレットが完成することになるし、誰も変わってくれる人なんていないし、隣のオバチャンなど僕の慣れた手つきを見て「よっ! バナナボーイ!」なんてとても素では笑えないあだ名をつけるしで意識が朦朧。腰痛。次第に言葉が少なくなってくる。
 
延々とバナナを乗せる。バナナが少なくなってくる。「すいません! バナナ下さい!」バナナを延々と切断している係の人に大声で頼む。ボール山盛りのバナナが運ばれてくる。
 
8時間8千個8千円。
8時間8千個8千円。

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