2003年07月02日(水)  無言で過ごす親密な時間。
窓を開け、一人掛けのソファーを窓際へ移動させ、太陽の光を浴びながら小説を読む無職2ヶ月目の午後。
 
「できましたー」
 
隣のベランダから声が聞こえる。「今日はカタヤキソバです」彼女はベランダ越しに料理を渡す。「ありがとう。朝から、何も食べてないんだ」僕はいつもと同じ台詞を繰り返す。朝に起きれないので朝食は食べれない。必然的に昼食になる。小さなテーブルをソファーの横へ移動させカタヤキソバを食べる。
 
「美味しいよ」僕は目の前に広がる空間に向かって大きな声で言う。
「ありがとー」隣のベランダから彼女の声が聞こえる。彼女もベランダの傍に腰掛けて昼食を摂っているのだろう。
 
「今日は家にいますか?」
「うん。ずっと家にいる」
 
彼女は夜、僕の部屋にやって来る。パソコンの前に座り、大学のレポートの文献を探す。僕はずっと窓際のソファーに座っている。昼に読み始めた小説を読み終わろうとしている。
 
「私も今日小説読もうと思ってこれ持ってきました」
 
と手に持っている桃色のフロッピーディスク。
 
「中国の小説。このパソコンで見れますか?」
 
見れなかったので、中国語が表示される機能をダウンロードする。そして彼女は小説を読み始めて、僕は読み終えた小説を本棚に戻し野球を見る。8回裏広島リードの場面で野球放送が終わる。「ちょっと煙草買ってくるね」今日始めて外に出る。煙草と缶コーヒーと、オレンジジュース。僕は煙草を吸いながらぼんやりとテレビを眺める。彼女は気難しい顔でディスプレイを凝視している。
 
無言で過ごす親密な時間。

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