2003年05月21日(水)  小癪な業。
午後起床。久々池袋へ。どうやら社会は僕を求めていないようなので、自ら動き出すことにしました。
 
「これってデートじゃないの?」
 
と彼女は言うけれど、大丈夫。僕たちはそういう関係じゃないし、実際問題関係を持つということは不可能なんだから。だから大丈夫。断言します。これはデートです。
 
「やっぱりデートだよね」
 
女性はその行動に理由などないが、男性は理由を求めて恋を失う。と。この場面では関係のない話だが、地下街を歩きながらそんなことを考えていた。この中にSARS感染者がいたら、多分僕も感染するだろうから、来月の家賃どうしよう。と。やはりこの場面では関係のない話だが、そんなことも考えていた。久々の晴天で、僕たちの出会いは霹靂だった。
 
様々な雑貨屋が軒を連ねる池袋パルコ5階。彼女のピアスを選ぶ僕。選ばれる彼女。女性のピアスを選ぶのは、えっと、3年振りかしら。あれからもう3年経っているのかしら。あのクリスマスから3年も経ったのかしら。いや、4年前かな。
 
渋滞をすり抜けるように自転車で彼女のアパートへ走ったクリスマス。ワインと手作りの料理とケーキ。あんなに急いでいたのは仕事が遅く終わってしまったということと、どうしてもこのピアスと一緒にあの絵本を贈りたかったということ。その他諸々の理由は忘れてしまった。忘れてしまった理由は僕が歳を取ったということと、その数ヶ月後に別れたときにそのピアスも絵本も僕の手元に戻ってきたということ。『羊男のクリスマス』という絵本は今も僕の部屋の本棚に、2冊。自分用とプレゼント用の2冊。静かに佇んでいます。
 
というわけで数年振りのピアス選び。もう腕まくり。真剣です。自分ではなく、他人が身に付けるものだからいい加減な選出などできないのです。この店ではこれがいちばんいいな。よし次の店に行こう。この店ではこれがいちばん可愛い。よし次の店行こう。この店ではこれがいちばんキミに合いそうだね。あれ? 前の前の前の店で見たピアスはどんな形か忘れてしまったよ。はは。駄目だね僕は。と、案外駄目じゃない。
 
「トイレ行ってくるからこの店で待ってて」
 
と彼女をその店に固定させといて、僕はトイレに行く振り。前の前の前の店に一人で行き、素早い手つきでお目当てのピアスを手に取り購入。「プレゼント用で」と一言告げて、店員がラッピングしている間にトイレに行き小便。再びそこへ戻りラッピングが施されたピアスをポケットに入れ、何食わぬ顔で彼女の元へ。「なんか、トイレの場所、すげぇ、あれだね、わかんなかった」と今思い返すと馬鹿のようなセリフを吐いて再び彼女と一緒にピアスの選出。
 
「これ、これいいよ。僕の直感が、そうおっしゃってます」
 
とピアスを購入。事前に彼女のピアスホールの数を確認していた僕は、今購入したピアスと並んで装着した場合に遜色ない、というかその2種類のピアスに共通のテーマというかイメージが存在するようなピアスを購入したという小癪な業。
 
そして別れ際。いつこれを出そうか散々迷っていたくせに「あっ! そうだった。これ。もう一つ買ってたの。ピアス」と、自然に思い出したような臭い演技をして彼女にプレゼント用にラッピングされたピアスを渡す。小癪だね。これはデートであってデートじゃない。しかしデートらしい演出。今日はとても楽しい一日を過ごしました。

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